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小説(二次創作)
メルト
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ある死神は
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暗黒の契約 第3話


杖のすばらしさに心を奪われた『加藤 祝詞(かとう のりと)』は学校にまで持ち込もうとしていた。


朝の日差しが部屋に入ってきていた。祝詞はいつもより早く起きると、学校へ出発する準備を整えていた。そして、彼は最後に杖を持った。

「誰にも見えないといっても、流石にこの大きさは邪魔だな……」

この杖は彼の身長ほどの長さであった。険しい顔をして暫く考えた末……

「縮め!」

そう彼が言った途端、杖は見る見るうちに縮み始め彼の手のひらサイズにまでなった。しかし、カウンターは『4』を示していた。

それを確認すると杖をズボンのポケットへしまい1階へ向かった。リビングに行くと台所では頭に包帯をする母親の姿があった。

「おはよう、祝詞。今日は早いのね」

母親は何事も無かったかのように話しかけた。

「今日は、もう行くから……」

彼はそう言って、家を飛び出した。母親はキョトンとした表情のまま朝食を準備する手を止めた。



替わって、祝詞はあっという間に高校へ到着していた。余談ではあるが彼の家から高校まで歩いて10分もかからない距離である。遅刻寸前でも走れば彼の足であれば3分強で到着できる。

教室に1人でいる彼は、この杖をどう使うか思考中だった。今日1日は『黒板消しの罠』程度のことにしておこうという考えである。

そんな事を考えている内にあっという間にチャイムが鳴っていた。クラス全員が着席をしており、担任はまだ来ていない。

「そうだ……」

彼は彼以外誰にも見えない手のひらほどの長さの杖を机の下で強く握った。丁度、教室の扉が開いた。担任が入ってきたのである。彼はそのかっこいいのにどこか頼りなく常に生徒にいじられている担任が嫌いであった。

「転べ、思いっきりとな」

静かに彼はそう唱えた。途端、担任は数歩よろめいた後、空を飛ぶかのように滑り、頭から落ちていった。担任の持っていたプリント諸々が床に散乱した。教室中、笑い声でいっぱいになっていた。

「朝から何やってぇんだりょうな俺」

担任は恥ずかしそうに立ち上がると、噛み噛み何かを言っていたが残念ながら誰も聞いていなかった。連絡事項も特に無く、担任はプリントをきれいに拾って教室を後にした。授業があるものの担任直々の授業は無く、生徒やその他の教師を対象にする気は無かったので杖はポケットのしまわれたままだった。

授業を全て消化し、残りが担任によるホームルームだけになったため彼は行動に出た。セオリー通り黒板消しをドアにセットしてタイミングよく杖を使おうとしていたのだが、流石に杖を使わなくても十分成功するだろう。そう思った彼は、クラス中の注目を浴びながら黒板消しを外し、黒板消しクリーナーを持ってきた。このままではドアに挟まらないためドアの上の窓を開けドアと窓の間にある鉄の部分にコンセントを括り付け『普通では落ちない』ようにした。準備完了、後はクラス全員が期待する中、彼が杖を使用すれば終了である。因みに彼以外、杖の存在を知らないため落ちたら奇跡程度にしか思っていない。

来た。担任が上の黒板消しクリーナーを気にしながらドアの仕切りを跨いだ。

「落ちろ!」

祝詞含めクラスメイト全員が叫んだ。彼は杖の力を使ったので上を向いていた担任の顔の上に黒板消しクリーナーが落下。担任はそのまま後ろに倒れ後頭部を打ち付けた。黒板消しクリーナーは高いところから落下して、中の粉が飛び散り、担任の間抜けさが引き立つ。騒ぎを聞きつけた他のクラスや担任がこちらのクラスに向かってきた。

「分が悪いな……黒板消しクリーナーを元に位置に」

あっという間にクリーナー及び粉はきれいさっぱりもとの位置に戻りただ、担任が転んだということで済まされた。クラス全員が不思議がっていたが彼は全く気にしていなかった。杖は『7』を示していた。
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AMaRo Project. 2014