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神サマの忘れ物
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あの青空に祈りを捧げ
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即興小説トレーニング置き場
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小説(完結)
突出幼心あくりょうちゃん
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せくすちぇんじッ!
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俺が我が家にやってきまして……。
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小説(二次創作)
メルト
1

ある死神は
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俺が我が家にやってきまして……。 第26話


「早すぎただろうか」

 優希は駅前のファストフード店で朝食と、時間つぶしでしばらく滞在した後、結局そわそわと落ち着かなかったので、待ち合わせ場所である駅前の時計台に到着した。
 待ち合わせの時間までは三十分ほどある。
 まさかメールアドレスを交換した翌日に、こうして沙苗と二人きりでどこかに行くことになるとは思わなかった。
 ただ、図書館に行く理由というのはなんだろう。
 夏休みだけに勉強だろうか?
 いやそれはないだろう。沙苗のことだ。宿題をするのであれば、友永もゆうきも誘うはずだ。
 それに、その気があれば勉強道具を持参するように連絡を寄越してきたはずだ。

「うむ……」

 緊張のあまり、当たりをウロウロと歩きまわり、あーでもない、こーでもないと考えを巡らせてしまう。
 おそらく、他の人間から見たら優希は完全に不審者であろう。

 などと時計台の針が五回動いた時、

「やあ、待った?」
「お、おう」

 背後から声をかけられ、ビクリと肩を震わせる優希。
 振り返ると、そこには黒い髪をなびかせる沙苗の姿がそこにあった。
 風で揺られる長い髪に、茶色の鍔のあまり広くない帽子がちょこんと頭に乗っている。
 服装は白いシャツに、青色のオーバオールだ。裾は短く、太ももがかくれるほどで、脚は黒色のニーハイソックスに守られている。

「って、沙苗もずいぶん早いじゃないか」
「まあ、委員長として遅刻はできないからね」

 優希に向けられるウインクだけで、優希は何日も時間が潰せそうであった。

「そんな緊張しないでよ……って、君には酷かな? とりあえず、図書館まで歩こう、ね」
「アッ、ハイ」

 ただただ、優希はそれに従ってついていくことしか出来なかった。


 図書館までは駅前から五分ほどの場所にある。
 二人は太陽が照りつける中、ややゆっくり歩いて向かっている。

「優希くん、よく一人でこれたね」
「二人きりって約束だからな。アイツには申し訳ないけど、振り切らせてもらったよ」
「そっか……よかった」

 まるで安堵するかのように答える沙苗に、優希は疑問を持つ。

「アイツがいちゃマズいのか?」
「うん、あまり、ね」

 続ける沙苗は、正直な意見を漏らす。

「やっぱり、優希さんは元の世界に戻ったほうがいいって私は思うんだ」
「……」
「だから、この図書館に魔術関係の本が今日はいるって聞いたんだ」
「そんなピンポイントに魔術の本が入ってくるのか?」
「さて、誰がそんな本を図書館にリクエストしたと思う?」

 と尋ねられ、優希は思い出す。
 ゆうきと出会う前、魔法陣の本を入手する前、図書館にしつこく『魔術の本を入れてください。できれば女子になれる奴』とリクエストした記憶が蘇る。

「俺か!」
「で、なんだかんだ結構な数集まったって噂だよ。おかげで、自習スペースが減るみたいだけど」
「あ、スミマセン」
「まあいいよ。それで、優希さんがいたら絶対やがるでしょ? 自分の世界に帰りなさいなんて言ったら」
「そっか」
「ま、方法だけわかれば、優希さんの好きなタイミングで帰れるだろうし。それだけは知っておきたかったから」
「そんな、沙苗はそこまでアイツのために動くんだ?」
「んー、なんでだろうね」

 きっと、優希さんの世界の私だったらそうするって思ったからかな。
 と、冗談交じりに微笑んでいた。

 さて、気がつけば駅前の図書館の目の前まで来ていた。

「じゃ、行きましょうか」

 沙苗と優希は二人で、図書館の扉をくぐる。
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