ホーム

コンテンツ
あめいろぷろじぇくと!
Pクエスト(仮)
Twikker
わーどもんすたぁ
サモンズコール
どうぶつつなひき

小説(継続中)
神サマの忘れ物
12345
678910
1112131415
1617181920
212223

あの青空に祈りを捧げ
12345
678910
1112131415
1617181920
2122232425
2627282930
313233

即興小説トレーニング置き場
12

小説(完結)
突出幼心あくりょうちゃん
12345
678910
1112131415
1617181920
21

オレと兄貴と私がいるから
12345
678910

祭囃子〜記憶の隅に〜
1234

祭囃子〜聖なる夜に〜
12

ボクはネコ
1

フタツヤネノシタ
12345

魔女の契約
1234

暗黒の契約
12345

いのししレース ピキョ村のキピ
123

おにぎり落ちたそのまま食べた
12345

天使見習い頑張らない
1234

せくすちぇんじッ!
12345
678910
1112131415
1617

俺が我が家にやってきまして……。
12345
678910
1112131415
1617181920
2122232425
2627282930
31323334

小説(二次創作)
メルト
1

ある死神は
12345

ある死神は 第1話


「はぁ……」
 空からは冷たい雪が振っている。
 夜空を覆う、闇色になった雲をこの雪が照らしているようにさえ思う。
 口からくわえていたタバコを抜き取って、息を吐けば真っ白な空気が空へと昇っていく。
 煙か、俺の息か。まあ、どちらでもいい。
 ここはマンションの屋上で、フェンスに背を預け横目で目下を見れば、車がミニカーのごとく行列をなしている。
 運転手は何のためにここを走り、誰が待っているんだろうか。
 一台一台の考えを知ることなどできるわけでもなし、理解したくもない。
 俺を待つ人間も、かつては存在していた。はずだ。
 だが、今はそんな人間がいない。
 ただ一人、積もりつつある雪の上。雪を吐き出す雲の下。マンションの屋上でタバコを吸って、有害な空気を吐く。
「で、俺に残された時間はもう少ないんだな」
 短くなったタバコを、雪の上に投げ捨て正面に視線を戻す。
 正面には、一人の少女が立っている。歳は二桁あるかないかくらいの外見。
 赤い瞳からは、一筋の光が彼女の頬を伝っていた。
「……」
 薄い栗色の少女は答えない。
「まあ、最高とは言えないけど、いい人生だったよ」
 怒りも、悲しみもしない。
 どうせ、待っている人なんて誰も居ないんだ。せめて、彼女の前だけではいい格好をさせてくれよ。
 俺はただの人間で、彼女はそうではない。
 一度、深く息を吸ってから白い息を吐く。
 白い空気は、薄くなって消えていく。まるで、俺の生き様のように。
 雲は雪を履き続け、遠い地上からは車の悲鳴が聞こえるかのようだ。
 フェンスに背を預けて、俺は彼女に向かって声をかける。
「"最期"に一言でいいから、何か言ってくれよ。寂しいじゃないか」
「……」
 彼女の頬から雫が落ちる。このままにしたら、その眼が凍ってしまうのではないかという程に。
「……ごめんね」
 そんな彼女がようやく口を開いたかと思えば、謝罪の言葉。
 
 そして――

   *

 彼女と出会ったのは、数日前のことである。
 寒いけれども、雪とは無縁な晴々したある一日だった。
 何を思ったのかは今でもわからない。でも、何故か俺は人ごみのある場所へと繰り出していた。
 日々の疲れを感じると、何故かきたくなる。わざわざ疲労を溜めてしまいそうなその場所に。
 今日もやっていたことに嫌気が差し、この場所へとやってきたのだ。
 休日になると、人がごった返すファッションに特化した街。平日の昼間はまだ人が少ないと思える。
 だからといって、俺はファッションに興味なんてなく、目的なんてあるはずもない。
 ゲームセンターで時間を費やしたはいいが、他にやることがなくなってしまい、帰るにもまだ早い時間だ。
 さっさと家に帰って、再びやるべきことに取り掛かればいいのに。今日だけは、ここにいようと思ったのだから、ここにいればいい。
 喫茶店にも、ファストフード店にも寄らず、駅前にベンチ状になった場所に腰を下ろして、スクランブル交差点を行き交う人々や、車を観察するだけである。
 交差点の信号が青色になれば、たくさんの人が一斉に進み始める。
 赤色になれば、車が順序良く速い速度で走っていく。
 それの繰り返しをひたすらに観察するのみ。
 まるで、それが俺の生活の如く。
 朝起きて、昼間生活して、夜は寝る。これの繰り返し。無駄の多い一日。
「なんだかなー」
 胸ポケットに手を突っ込んで、空っぽだということに気がつく。すぐに手を取り出して、ため息を吐く。
 タバコを家に忘れてきてしまったか。
 財布など持ってきておらず。ズボンのポケットに、電子マネーのカードが一枚入っているだけだ。
 一往復出来るだけの額は入っていて、財布がなければ余計な買い物をしなくて済む。ゲームセンターだって、プレイはせずに、景品や人を見るだけである。
 どうしても、必要であれば電子マネーで払えばいい。少しなら余裕があるからな。
「はぁ……」
 吐く息は白く染まることなく、外に放出された。
 身体から出ていった空気はどこに行くのか。回りまわって、誰かが吸うのか。俺は、誰かの息を吸っているのか。
 人はどこに行くのか。という、疑問に少し似ている思った。
 人がどこに行くのかなんて、興味はない。それでも、生きているのだから。
 なんで、皆はこうして一生懸命生きていけるのだろうか。何か目的があるから生きていけるのか、それは誰も教えてくれない。
 考えるのはやめよう。
 人を見るのすら嫌になりそうだったので、駅の入口の方へと視線を変える……ん?
「ああ……?」
 とんでもないものが立っていた。
 大きな鎌を携えて、"いきゆく"人を、交差点の人々を真っ直ぐに見据える小さな少女。
 背丈は小学生くらい。眼は赤く、薄い栗色。それとすごく長い。頭には意味を成すのかわからない帽子を被っている。
 目を疑った。
 大人だったら、不審者というレベルを超えている。いや、子どもでもあの格好はおかしい。
 だが、人々は彼女に気がつかないのか、避けるようには歩いているが、銀色に光る鎌を見て冷静でいる方がおかしいだろ。もしや、誰にも見えていない?
 そして、
「……」
「……」
 目があった。目があったら勝負の合図……というわけでもなく、どうしようか迷った結果、手を振って見ることにした。
 最初は、彼女が後ろを見たり横を見たりしているが、手を降っている対象が彼女だということに気が付き、赤い眼が見開かれると同時に、こっちにやってくる。
 ……あ、これヤバい? 殺されちゃう?
 なんてこともなく、会話は問題なく出来る距離。狩られても文句の言えない距離。
 でも、彼女は殺意を見せることなどなく、口を開く。
「あなた、わたしのことが見えるの?」
 最初の一声がそれだった。
「お、おう……」
 どう会話をするのか忘れてしまった俺が、ようやく出せた声がこれなんて情けないぜ。
 声が出せたことに俺は自分を褒めたいくらいだ。
 それと同時に、彼女がどことなく悲しそうな顔をしたのは、さてなんでしょう。
next

AMaRo Project. 2014