ホーム

コンテンツ
あめいろぷろじぇくと!
Pクエスト(仮)

ボードゲーム
サモンズコール
どうぶつつなひき
星空を望む少女達の夜明け
罪ナキ少女 進ムハ断頭台
ほしあけマジックフェスティバル
じぇーけーえぶりでい!!
バトルロジティックスクェア
じぇーけーふぁいてぃんぐ!!

小説(継続中)
神サマの忘れ物
12345
678910
1112131415
1617181920
212223

あの青空に祈りを捧げ
12345
678910
1112131415
1617181920
2122232425
2627282930
313233

即興小説トレーニング置き場
12

小説(完結)
突出幼心あくりょうちゃん
12345
678910
1112131415
1617181920
21

オレと兄貴と私がいるから
12345
678910

祭囃子~記憶の隅に~
1234

祭囃子~聖なる夜に~
12

ボクはネコ
1

フタツヤネノシタ
12345

魔女の契約
1234

暗黒の契約
12345

いのししレース ピキョ村のキピ
123

おにぎり落ちたそのまま食べた
12345

天使見習い頑張らない
1234

せくすちぇんじッ!
12345
678910
1112131415
1617

俺が我が家にやってきまして……。
12345
678910
1112131415
1617181920
2122232425
2627282930
31323334

小説(二次創作)
メルト
1

ある死神は
12345

あの青空に祈りを捧げ 第12話


優衣の父親が失踪したらしい。

父親がいなければ入院費を支払えない。母親はパートを強いられた。土日には優衣に会いに来たが、日に日に痩せていった。あまり笑顔を見せなくなった。

ある日、俺が優衣に部屋に行ったときに怒鳴り声が聞こえた。慌てて部屋に入ると、担当看護師が母親に怒鳴られていた。

「あなたは! 何なの!? 優衣をどうするの?」

母親は疑心暗鬼になっていた。疑い深くなっていた。今度は優衣がいなくなってしまうかもしれないと思ったのだろう。俺はすぐに止めた。どうやら、俺は信頼されていたらしく、すぐに怒鳴るのをやめて泣き崩れた。最悪だよな、全部優衣に見られちまったんだ。

事が終わって、母親が帰った後、優衣と話した。会話をする中、優衣はこう言った。

「あたし、大谷先生の時間を無駄にしてないですか?」

俺は、愕然とした。言葉を失った。

「やっぱり……」

優衣の声は弱々しかった。俺はすぐに答えを返した。

「そんな事はない。優衣がいてくれるから、俺がここにいれる。それに優衣との一秒一秒が俺にとっての修行だ。こんな事言ったら悪いけど、ありがたいよ」

「そうですか?」

俺の返答に優衣は少し元気が出た感じの口調だった。

そして、一年と少しが経った。優衣には手術を耐えるだけの体力がついた……のだが――いいや、体力がついたけど、まだもう少し大事を取って、今に至る訳だ。

*

「ちょっと、話しすぎちまったな」

知兄貴は後頭部を掻いて「へっ」と微笑した。俺は黙ったままだ。むしろ、声が出なかった。

「おい、颯太。時間あんだったらついて来い」

「は?」

そんな対応しながらも、俺は知兄貴についていった。一階の診療室らしき部屋につれられた。

「おい、座れ」

知兄貴はドクター用の椅子に座って、俺は患者用の丸椅子に座った。そして、知兄貴は少し小さめな声で話し始めた。

「本来、ご家族にしか見せられないんだが、特別だ。優衣の病状について詳しく説明してやる……けど、誰にも言うなよ。俺のクビが飛ぶから」

そういって、モノクロの写真らしきものを光る壁に貼り付けた。レントゲンだ。

真ん中辺りに肺らしきものが確認できたのだが、形が左右対称じゃなかった。俺から見て右側の肺がなんだかおかしい。

「優衣の肺は見ての通り、片一方の肺が正常に機能していない。息を吸っても肺があまり膨らまない状態になっている。しかもだ、何時もう片一方の肺が機能しなくなるか分らない状態だ。何時爆発するか分らない爆弾を肺に抱えているんだ」

俺は驚いた。元気そうだった彼女がこんな状態だったなんて……知兄貴の説明はまだまだ続いていたが、ほとんど記憶に残っていない。
prev next

AMaRo Project. 2014