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あの青空に祈りを捧げ 第2話


「早すぎないですか?」

「はい」

俺はあまり衝撃を与えないようにゆっくりと歩いた。彼女はどこかから一人で車椅子を押してきたのだと思うと俺は感心してしまう。俺なら無理だ。

進んでいくと信号が赤に変わった。立ち止まって沈黙。とても気まずい。その時俺の目に留まったのは彼女の持っていた本だった。背表紙が上を向いているので、タイトルと作者が目に入る。

「それって、『宮沢賢治』の……」

俺はあまり文学とかは有名な作者のしか知らない。

「そうです。あたしはこの本が好きなのですが、あなたは読んだ事ありますか?」

「いや、無いですね。俺はラノ……あまりそういうのは読まないですね」

「そうですか……」

彼女は寂しそうに言った。そして、また沈黙。信号はまだ変わらなさそうだ。

「雨にも負けず 風にも負けず 雪にも夏の暑さにも負けぬ丈夫な体を持ち 欲はなく 決して瞋らず いつも静かに笑っている」

彼女は突然、静かに語るかのように1フレーズを暗唱。

「『雨ニモマケズ』ですか……俺もこの辺までは知ってます。この後も続いてましたよね?」

「野原の松の 林の蔭の 小さな茅葺きの小屋にいて――」

彼女は一呼吸置いて目を閉じながら続きを暗唱した。信号が青になり進み始めても、目を閉じたまま俺に語りかけるかのように暗唱し続けた。そして、図書館に到着したと同時に最後のフレーズを暗唱し終えた。

「あたし、この詩が好きなんです」

「俺も結構好きですよ」

「そうなんですか、何だか嬉しい」

俺のほうを向いて微笑む彼女。俺は顔が真っ赤になっていたかもしれない。何だか照れくさかった。

図書館はというと開館時間になっていないため中に入れない。俺は車椅子を押して、返却ポストの前まで来た。

「俺が入れますよ」

俺が本を受け取ろうとしたら、彼女は首を横に振った。

「自分で入れます。このポストに本を入れるのが好きなんです」

何だか分かる。吸い込まれるように本が入っていくポスト、郵便ポストにはがきを入れる以上に面白い。

「届きますか?」

「大丈夫です」

彼女は精一杯腕を伸ばして1冊1冊本をポストに吸い込ませていく。

そして、最後の1冊を吸い込ませた。

「ありがとうございました」

彼女は俺の方を向いて一礼した。

「もしよかったら、帰りも押していいですか?」

「え?」

彼女は驚いた顔をしていた。

「君が本をポストに入れるのが好きなのと同じで、僕は車椅子を押すのが好きなみたいです」

彼女は引いたかもしれない。変に思ったかもしれない。彼女は笑いを堪えながらこう言った。

「……変なの」
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