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小説(二次創作)
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ある死神は
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あの青空に祈りを捧げ 第20話

・親父プロジェクトその2〜出会い〜

毎週木曜日。俺は行きつけの居酒屋へいく。今日も颯太の帰りが遅い。俊之君が来る様子も無いので、もう家を出てしまおう。

適当な服を着て、財布だけを持って居酒屋へ向かう。徒歩で15分程度の場所だ。颯太には仕事へ行くと言って押し通している。多分、これもばれているだろう。

薄暗い橙色の空、いつもの居酒屋の暖簾をくぐった。

「らっしゃい! 一ちゃん!」

威勢よく叫ぶのは俺の高校時代の友人の『平 次郎(たいら じろう)』この店の主人でもある。次郎は俺の事を『伊ちゃん(いっちゃん)』と呼ぶ。そして、俺は『次郎ちゃん』と呼ぶ。

「次郎ちゃん。今日も席はあるかい?」

「もちろんだとも。伊ちゃんの専用席だもんな」

そして、俺は4人用の席についた。いつもの店の端っこの、カウンター席が見える席。

「いつもの焼酎ね」

次郎ちゃんはテーブルに焼酎の入ったグラスを置いた。

「お、サンキュー……」

俺はフッとカウンター席の方を見た。一番壁側の席で1人寂しそうに飲む女性を見つけた。何だか雰囲気が俺に似ていた。何だか、あの人と話したくなった。

「次郎ちゃん。悪いけど、席移ってもいいか? あの、女性の隣」

俺は女性の横の席を指差した。

「へ? 別に構わないけど」

「悪いな」

俺はグラスを持って女性の横に席に座った。

「ここいいですか?」

「……別に」

その女性は何かを疑うかのような目で俺を見つめていた。薬指に指輪をしている。この年では子どももいるだろう。

「こんな時間から飲んでいていいのですか? お子さんが待っているのではないのですか?」

「……私の娘は、病気で入院しています。心臓が生れつき悪くて……元気だったら、高校2年生になっていたのに……」

「病気でしたか……俺、余計な事聞いちゃいましたね」

「いいえ、『話を聞いてもらえるだけで、結構楽になるんですよ。』」

その女性はグラスの中身を飲み干した。そして、おかわりを要求した。次郎ちゃんがグラスを回収をした後、その女性は俺の事を見た。もう、警戒心とかはないようだ。

「もっと、聞いてもらえますか?」

「いいですよ。俺にも高校2年の息子がいますから。とても、人事に思えないですね」

俺は、グラスに口をつけた。変わらない味。やっと一週間が経ったと思える。

「娘は中学生になったときから、ずっと入院しているんですよ。娘を治すには心臓の『移植』しかなくて、私がドナーになることが決まっているのですが……お金が足りないんです」

「……」

俺は黙って聞いていた。とても、人事には思えない。

「夫は大分前から行方知らずで、私がいくら働いても、入院費をやっと払うくらいで……」

「なら、俺が代わりに……」

その女性は首を横に振った。

「これは私の家族の問題です。だから、結構です」

俺は立ち上がり、少し強めの口調で。

「なら、何でこんなところで飲んでるんですか? こんなところで飲んでいるんだったら、手術費に回したら……」

俺は、途中で座った。頭を冷やした。

「すいません。ちょっと、熱くなりすぎました。ならば、酒代くらいは出しますよ」

「え……そんな」

彼女が静止しようとする中、俺は次郎ちゃんを呼んで『彼女の分も払うから』と言った。

その後も暫く飲んで、同時に店を出た。

「今日はありがとうございました」

彼女は一礼もニ礼もした。何だか、はじめてみた時より元気になっていた。

「俺、毎週木曜はここで飲んでいるので、何かあったらどうぞ。おごりますよ」

「……はい」

彼女は静かに言った。もしかして俺、しつこかったかな?

「もし良かったら、お名前を教えていただいてもらってもいいですかね」

そして、彼女は名乗った。

『月見野 恵理子(つきみの えりこ)』と……
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