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あの青空に祈りを捧げ 第9話


病院の屋上は風が吹きぬけていて涼しかった。しかし、病室と違って圧迫感が無い。

「寒くない?」

「大丈夫です」

彼女はフェンスに手をかけ、俺はフェンスに体を預けた。そして沈黙。俺は少し辺りを見回してみる。真っ白に洗濯された大きな布がパタパタといわせてたなびいている。これはベットのシーツか。

「あの……」

彼女が突然口を開いた。

「何?」

俺が答える。

「あたしの事……あたしが何で入院しているか聞かないのですか?」

切なそうな顔をして俺に言った。少し風が吹いて、彼女の肩にかかっている髪が揺れる。俺は静かに答える。

「なんだか、聞いたら優衣さんが遠くに行ってしまうんじゃないかと思って……それに、俺は何も出来ないし」

俺は微笑を浮かべる。

「……何も出来なくはないですよ」

彼女は静かに言った。乱れた髪を直して、フェンスの向こうの景色を見る。

「話を聞いてもらうだけで、結構楽になるんですよ。特に、母にも言えないような話は」

俺はハッとした。彼女は俺に話を聞いて欲しかったのだと。

「……俺でよかったら、その……なんで入院しているか聞かせてもらってもいいかな?」

「はい」

彼女は俺の事を見て満天の笑みを浮かべた。俺は少しドキッとした。

「あたし、生れつき肺が悪くて幼稚園や学校を休みがちだったんです。少し運動しただけで、息が上がっちゃうし、とても大変でした。そして、あたしが中学生になったときに肺が更に悪くなってしまって、入院する事になったんです。お陰で、中学校は行けずに卒業は形だけになってしまいました」

「手術はしたの?」

俺が聞く。すると、彼女は少し下を向いて答えた。

「それが、あたしの肺を治すには『移植』しかないそうです」

俺の脳裏に衝撃と共に『移植』という二文字が浮んだ。彼女の病気はそこまでだったのか。

「肺は母の肺の片方を移植する事が決まっているのですが……やはり、成長期の体と成人の体とでは肺の大きさが違うということで、まだ手術が出来ないそうです」

「そうなんだ……」

「……けど、あたし怖い」

「え……?」

彼女の声が震えていた。体も震えていた。

「成功率はまだ教えてもらっていないのですが、もし、失敗した時の事を考えたらすごい怖いんです」

彼女はうつむき、光る雫を落としていた。それは、彼女の涙だ。手術……確かに、失敗し時を考えると怖い。でも――

「大丈夫。優衣さんに限ってそんな事――」

突然彼女は俺の肩に手を乗せて、顔を俺の胸に当ててきた。彼女の身長は俺の肩くらいまでしかなかった。けど、よっぽど彼女のほうが大きく見えた。俺は、優しく腕を彼女の背中に回した。そして、空を見上げて……あの青空に祈りを捧げた。
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