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小説(二次創作)
メルト
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ある死神は
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せくすちぇんじッ! 第1話


「よし、持ち上げるぞ一田(はじめだ)」
「おし、こい東條(とうじょう)」
 せーの、と一田と声を合わせて脚の折られた長机を持ち上げるのは俺、東條秋斗(あきと)である。
 同時に力を入れて持ち上がった机を舞台下の収納スペースまで持っていくわけだ。
 現在、俺達の学年は皆、体育館に集結してそれぞれの作業にあたっている。
 黒い詰襟を着ているのは男子で、パイプ椅子を持って長机と同じく収納スペースまで運ばれていく。
 反して、紺色のブレザーに暖色のチェックのスカートを身にまとう女子は土足用の長いマットをくるくると巻いたり、モップで床を掃除していたりしてる。
 これらの作業は、自分たちが分担するでなく、教師に指示をされて動いている。
 そして、何が楽しくてこんな作業をしているか。それは簡単だ。
 今日が入学式である。
 俺の一つ下の学年の生徒が入学してきたのである。
 その準備や片付けをするのは、当然在校生に任されるわけだ。
 三年生か、二年生。どちらが適任かといえば、下級生に当たる二年生がするに相応しい。
 ここまでは、理解できる。理解できるのだが、
「おい、東條。ボーッとしてないで力入れてくれ」
「へいへい。わかったよ」
 正面にいるのは一田。メガネで坊ちゃん刈りというのだろうか、短く整った黒髪をしている。
 なんだかんだ言って、一年の付き合いとなる。無論、友人として。
「なあ」
「何だよ、文句は力を入れてからにしてくれ。本当に重い」
「おっと、すまんすまん」
 俺はグッと力を入れて、斜めになっていた長机が水平に戻る。
「で、東條。何を考えていたんだ?」
「あのな――」
 俺はもう一度、当たりを見渡す。
 男子、女子、男子、女子。

 ――なんで、男子が力仕事してるんだろうな。

 と、疑問を持ったわけだ。
「ふむ、確かになんでだろうな」
 二人で横歩きをしながら、長机を運んでいく。
 舞台から一番遠い場所にあった机だから、誰もやりたがらないようだった。なので、俺が一田と一緒に運ぶことにした。
「まあ、オレが考えるに、一般的に男は力があるからなんじゃないのか?」
「一般的に、だろ?」
「というと?」
 大体、半分くらいまでやってきた。
 ロール状になった土足用シートを超えて、進んでいく。先にはパイプ椅子が点々と置かれている。
 何故、順番に持っていかずに変な残り方をしている!
「いや、な。一田、周りを見てみろ」
「わかった」
 パイプ椅子を両手でいくつも持ち上げて運ぶ者。
 パイプ椅子を一つ持ち上げただけで苦しそうにする者。
 長机を一人で持って運ぶ者。
 それと、俺達。
 これが、皆男子だ。
 シートを巻く者。
 モップを使う者。
 立ち話をする者。
 これが女子だ。
「なんで、力の無い奴も力仕事をしてるんだ? 女子にだって、力のある奴がいるだろうに」
「それは、難しい問題だな……ただ、ひとつ言えることは、こうだ」
「ん?」

 ――男で産まれてきたから。

「なんじゃないのか?」
「そんな、俺が選んだわけじゃないのにか?」
「記憶がなくとも、オレたちはその性別を選んだ。保健体育で言ってた気がするぞ?」
「うむ……しかし、納得がいかんな」
 気がつけば、俺は男で勝手に力がつくもなく今高校生になった。
 何かあるたびに、力仕事を任されてとても苦しいながらもそれをこなす。
 でも、男子だけにそういう仕事を任せるというのは何故なんだ。
 女子にだって、任せることだってできるだろう。
 だからといって、女装をしてなりきるというのは違う。それでは、男のままである。
「おい、東條。到着したぞ」
「ああ……そうだな」
 舞台下の収納スペースまでやってきたので、長机が積んであるところに乗せる。
 舞台の下は引き出し状になっていて、そこにパイプ椅子や長机が全てしまえるようになっている。
 出すのも面倒だが、しまうのもまた面倒だ。
「じゃあ、オレは椅子片付けてくるか」
「おう、じゃあ、また後でな」
「だな」
 仕事熱心だこと。
 俺は、もう腕が疲れた。
 できることなら、モップで床を掃除したいのだが、全て女子が持っているのだからどうしようもない。
 持つだけ持って、話し込んでる者もいるのだから困る。
「……おや?」
 体育館を見渡していれば、隅の方に面倒そうな表情をした女子生徒が一人モップを持って立っていた。柄に顎を乗せてあくびをしてる。
 他の女子は複数人でつるんでいるのに、何故彼女だけが一人なのか。
 少しだけであるが、俺は興味を持ってしまった。持ってしまったものは仕方ないから、近づいてみる。
 舞台脇の隅なので、歩いてすぐの距離にいる。
 肩にかかる程の髪をして、前髪をヘアピンで整えた女子生徒。非常に退屈そうだ。
 俺は椅子を運ぶ奴らに目もくれず、彼女へと一直線。
 途中で彼女が気がついたらしく、ジトーとした警戒の色のある視線で見てきた。
「何よ、動いてない人はたくさんいるでしょ?」
「あ、いや、別に動けと言いにきたわけじゃないんだが」
 随分とズバズバと物を言うやつだな。
「じゃあ、何? ナンパ?」
「……このタイミングはないだろ」
「……どっか行ってよ」
 うーん、そんなことを言われてしまうか。
「なんというか、お前に興味がある」
「ナンパじゃん!」
「ちげーよ!」
 なんて叫んでいたら、教師から「二人で遊んでないで、手伝え!」と、怒鳴られてしまった。
 頭の乏しくなりつつある担任だ。
「……アンタのせいだから」
「俺のせいかよ……」
 それから何も話すことなんて出来ず、その場から二人、二通りに散っていくのであった。
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AMaRo Project. 2014