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小説(二次創作)
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ある死神は
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せくすちぇんじッ! 第16話


   *

 私の身体を使っている東條少年という人間は面白いな。
 北見少年とは違った、からかいがいのある少年。
 しかし、思っていることはズバリと言ってくれるのは私としてはとてもありがたい。
 とにかくだ。今は後ろから追ってくるリーダー格の女と遊んでやらねばなるまい。
 交通量の比較的多い広い道路、車の合間を縫うように進んでゆく。しまったな……ヘルメットを回収するのを忘れたな。まあ、いいか。
「で、西沢。大丈夫なのか?」
 東條少年が、私の荒い運転に耐えながらも尋ねてくる。
 自分の声に話をかけられるというのは不快にすら感じるな……。だが、彼に悪気はないし、相手だって同じ条件なのである。
「安心しろ。こういう場面には慣れている」
「慣れている……って、アンタ何者だよ」
「ただの生徒会長さ」
「……」
 ははは、私をどういう人間かを知らない者からするとこういう反応になるのか。新鮮だ。
「おい、信号が赤になったぞ」
「大丈夫だ!」
 前の信号機が停止を指示するのであれば、横の道に逃れれば良い。
 バイクを大きく傾けて、路地の方へと進行する。
「ちょ、危ねぇよ!」
「安心していればいいと言っているであろう。信じろ」
「信じろったって……」
 あの場で撃退しても良かった。むしろ、私一人であればあのくらいの数は簡単に撃退はできる。
 しかし、私一人であればという条件である。東條少年や南部女史を守りながらというのは容易いものではない。
「うむ……」
 急な方向転換にも俊敏に対応し、ついてきているな。
 小細工で撒こうだなんてことは無理だろう。
 住宅の路地に入っても速度は落とさない。一気に進んでいくが、手馴れているか……リーダー格の女も先程から変わらぬ距離で追っかけてきているか。
「おい」
「どうした?」
 路地を抜け、再び大きな道に出るとともに、東條少年が呼びかける。
「そのまま行ったら、東高の方向だぞ?」
「東高、か」
「東高には裏山があるんだが、そこまで行けば撒くなりできるんじゃないのか?」
 広いなりに車の通りが少なくなってきたな。
 進めば東高近辺、そこまでいって大事にはしたくない。それなのであれば、少しでも目立たないところで、か。
 車を避けるときに、無理のある曲がり方をするのだが、そのたびに東條少年は叫び声をあげる。私の身体なのに、随分と可愛らしい声をあげていると思う。反面、自身の情けない姿を映し出しているようで、いたたまれない。
「……君も罪な男だ」
「急になんだよ」
 そんな声を何度もあげられたら、私の精神も肉体ももちそうにないよ。なんで、肉体かって? それは下の方とでも言っておけば興奮するかい?
「そんな綺麗な女性の身体を借りて、しかも記憶は保ったまま。あんなことやこんなことがし放題なんだぞ?」
「そんなことするわけ無いだろ! ……というか、自分で綺麗とか言ってるし」
「はっはっは」
「それに、アンタだって同じだろ。俺の身体を使って何をしやがった」
「私はこの状況を楽しんでいただけだ。ただ、足を痛めてしまったのは申し訳なかった、痛かったろう?」
「やっぱり、アンタが原因かよ……まあ、大事には至らなかったからいいけどな」
「そうか、それなら良かった。して少年」
「なんだよ」
「トイレや風呂はどうだったんだ?」
「……アンタはどうして、すぐ下ネタにしたがるんだ? 腐っても女だろうに」
「腐ってたら、それこそそんな話題はふらんよ」
「何を言ってやがるんだ……」
 ミラー越しに見る彼の姿。私の顔で、呆れつつも顔を赤らめている。
 やはり、私は東條少年のような存在にあこがれていたのだろうか?
「それに、そういう性格なんだ。諦めろ。そういう顔を見るのが好きなんだ」
「畜生、俺の顔でにやけるな!」
「ははは、恥じるその顔、様になってるぞ。一層のこと、私の身体のままがいいのではないか?」
「確かに、俺は俺だが、それは勘弁いただきたい」
「奇遇だな、私も勘弁して欲しいよ」
「じゃあ、聞くなよ」
 もうじき、東高だな。低いながらも山が見えるので、そこに向かって走ればいいんだな。
 後ろからは、お利口についてくるバイクが一台。
「ところで少年よ。男と女の――」
「人の身体でするわけ――」
「何を想像している。男と女の性別逆転デートはしなかったのか? と聞きたかったんだ。ちなみに、彼女は恋人同士じゃないのか?」
「ちげーよ! 変化した時にたまたま会っただけだ」
 おや、違うのか。まあ、東條少年がどんな人間なのかが、大体把握できたよ。
 とてもいい人間だ。北見少年とはまた違った方向にな。


 さて、横手には木々が生い茂る山の際を走っている。
「もう少しで入り口だが、入るのか? 整備されてないぞ?」
「大丈夫だ。道があるだけマシだ」
 後ろとの距離は十メートルくらいか、若干加速して距離を更に離す。
 少し走れば、腐りかけた看板が先に見える。あそこか?
「入り口か?」
「ああ、あそこが入り口だ」
「わかった!」
「おおう!?」
 瞬間、森に向かってハンドルを一気に切った。
 当然、道なき道に突っ込んでいき木々の合間を縫って進むことになる。
「アンタ、何やってるんだよ!?」
「近道さ」
 ミラーで、背後を伺ってみれば、リーダー格が悔しそうな顔でこちらを見ているが、もう遅い。正規の入り口から追ってくるがいい。
 しかしながら、整備されていないだけあってガタガタと跳ねながらも進む。木にぶつかったり転倒をしないよう、細心の注意を払いつつも運転をしてゆく。この程度なら簡単なものだ。
「あがががががが」
「少年、気持ちはわかるが舌噛むぞ?」
 タイヤが揺れるたびに、背後から声が響く。盛大に噛まれたら私も数日痛い思いをしなければいけないのだからな。できればしないでもらいたい。
 ずっと、悪路を走っているわけにはいかないので、そろそろ正規のルートに戻る。
 運転しやすいものの、流石にちゃんとした道より走りにくいな。追いつかれることは無さそうだから、少しだけ速度を落とす。
「少年」
「なんだ?」
「広いところはあるか? そこまで行けば私がどうにかしよう」
「あるにはあるが、できるのか?」
「たやすい事だ、安心しろ。君には指一本触れさせはしない」
 なんて言ってしまったが、人を守るというのはそういうことなのかな。
 難しいが、やってみようか。できないことはできるようにしなければ意味が無い。
 頂上のようなところを過ぎ、下り坂になった辺りで先に広場のような景色が見え始めた。遊具が多々あり、公園として作られているようだな。
 さらにその先には校舎か? 白い建物が見えるが、あれが東高校か。
 道は大きくカーブしてから公園に入るようになっているが、
「また突っ込むのか!」
 まっすぐ進めばすぐそこだ!
 もう一度、木々の間を走って――おっと、
「――しまったッ!?」
「うおッ!?」
 バイクが横転する! 木の根が飛び出していたことに気が付かずに、引っかかってしまった。
 速度は出ていなかったので、ゆっくり横転したがバイクもろとも斜面を滑るように転げ落ちていく。
「うわああああああッ!!」
 少年が私の声色で叫んでいる。旋回して落ちていく世界で、私でもそういう声は出せるのだな。
 などと、思っているうちに旋回は止まり、横にバイクが滑るように倒れてきた。
「少年、大丈夫か?」
 すぐさま起き上がり、少年に声をかける。私は土で汚れてしまった程度で済んだ。少年も汚れているが、どこか折れたりしていないだろうか。
「ったく、やると思ったよ。俺も大丈夫だ」
 私の顔をした少年は、身体を起こして手を振った。
 二人で並んで公園で座る。地べたに座り込んでしまっているが、もう汚れているんだ。この際どうでもいいか。
 視界の先、柵の向こう側はオレンジ色の世界だった。街を見下ろすこの景色。
「いい景色だな」
 近場にこんな綺麗に見える場所があったんだな。
「だろ? 俺が小さな頃から好きな場所なんだよ。昔変わらないこの景色」
 そして、

 ――ふわり。

 この感覚。
「……お」
「……あ」
 お互いに顔を見合わせる。
 東條少年の身体が返却される。
 元の身体に戻ったところで、土で汚れてしまっていることには変わらない。
「よう、俺」
 夕日に顔を染める東條少年はそんなことを口にした。
 そう言われてしまえば返す言葉ただ一つか、
「やあ、私」
 バイクの音が近づいてくる。
「さて、どうにかするか」
 立ち上がって、公園の入口の方に身体を向ける。
「おい、西沢」
「大丈夫だ。ちょっと、見てろ」
 バイクの姿が見えたら、

 ――一撃を加えるのみ!
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AMaRo Project. 2014