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小説(二次創作)
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ある死神は
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せくすちぇんじッ! 第17話


   *

「……」
「……」
「……」
 西沢の操るバイクに乗って、南高の駅のファミレスまで戻ってきた。
 南部と北見と合流し、現在は四人で席についている……はずだった。
 ちなみに、リーダー格はバイクごと西沢に蹴られて吹き飛んでいった。西沢より、蹴られて吹き飛んだリーダー格の奴が心配である。ピクピクと痛みで喘いでいたから死んではないだろうが。
 四人で席についてるはずだった。というのにはわけがある。

「すまないな、遅くなってしまって」
「いやいや、姉御のためでしたらいつでもお使いください!」
「いつでも使ってもらえるようにぜひ連絡先を!」
「そうだな……名刺渡すから後で連絡をくれ」
「「イエッサー!!」」

 なぜ、西沢がイカニモな奴らの一部みたいな男にヘコヘコされているのか。
 それはいいとして向き直って、南部の横に座る北見に話をかける。
「北見だっけか」
「はい、北見です」
「なんで、西沢はあんな奴らと仲がいいんだ?」
「まあ、僕の学校の生徒会長ですから……」
 と、苦笑い。
 生徒会長だからといって、あんな身体能力や人脈を魅せつけられても謎が深まるばかりである。
「ま、生徒会長だからな」
 用がすんだのか、話に割り込んで俺に退くようなジャスチャーをする。どうやら、奥側の席を所望のようで。
「東高の生徒会長はもっと、凡人だよ」
「はっはっは、だからつけこまれるんだよ。彼は頭しか良くないからな」
 生徒会長ということで接点はあるだろうが、身体能力まで求めるな!
「……それで、俺の足が痛む原因を作ったのはアンタだったんだな」
 あれだけの力で足を使えば、俺の身体なんて保つわけがない。
「ああ、バイクを破壊するのに使ったからな。手加減はしたものの、痛めてしまったからな。それは申し訳なく思っているよ」
「人の足で何をしてるんだか……」
 俺の横で腕と足を組む美しい女子高生。どんな言葉をかけられても冷静沈着。
「あ、あの……」
 もっと文句を言いたいことはあったが、横から遠慮がちな男の声が聞こえてきたので、そちらに意識を傾ける。
 女々しいという単語が似合いそうな北見。南部と入れ替わっても大差ないからな。
「せっかく皆さんで集まれたんですし、改めて自己紹介と情報の整理でもしましょうよ」
 学年が違うのだろうか。本当に物腰が低いやつだ。
 入れ替わった後の学年は自分の学年に依存するからな。歳が違う可能性もなくはない。
「そうね……それに、あなた達が泥だらけの理由も知りたい」
 続いて南部が挟む。
「ということで、言い出しっぺの北見からよろしく」
 ブーメランのごとく北見から自己紹介をすることを勧める。結局、全員がすることになるんだろうが、最初にはしたくない。
「わかりました。僕は北見冬樹です。南高校の二年生で、生徒会雑用をやってます」
 雑用って、他に役職ないのかよ!
「じゃあ、次わたしで。南部夏弥、東高の二年生。冬樹くんや春香さんとは二回目ね……でも、なんか変な感じね」
 確かに、入れ替わった時の身体が目の前にいる感じ。まるで、自分自身が目の前にいるようでそういう意味での気持ち悪さがある。
「で、俺は東條秋斗。南部と同じく、東高二年だ。変化に気がついた奴を探していたが、こう近くにいるとは思わなかった。まあ、よろしく」
 これ言って自慢できるものはない。
「最後は私か。西沢春香、三年――」
「「え」」
「なんだ、何がおかしい?」
 俺と南部が同時に声を漏らす。
「アンタ、三年生だったのか……」
「タメ口だったけど、一つ年上だったのね……」
 北見が一つ年下で、西沢が同級生かと思っていたぜ。
「たった、一年差だろ? 今更、敬語を使えなんて言わないさ」
「これがオトナの対応ってやつね……」
 南部が感嘆としていた。
 うるさく言う奴はうるさいのに、西沢は大して気にする様子も見せていない。
 わかっていたが、西沢は人ができている。それとも、俺たちが子どもなだけなのか?
「それはいいとして、北見は敬語である必要はないだろ」
「いやー、癖がついちゃうとなかなか戻せなくて……」
 確かに。
 少し恥ずかしそうにしているが、その表情はその気がなくても、胸にくる何かがある。き、きっと、女になっていた影響に――

 ――ピンポーン。

 考えを途切れさせるチャイム音。
 ふと横を見れば、西沢がドーム状の白いボタンを押していた。視線は俺たちに、にこやかなまま人差し指で。
「おい、さり気なく押すなよ」
「いやいや、そろそろ注文しないとまずかろう。ファミリーレストランまできて何も注文しないわけにもいかないだろう?」
「そうだけど、何を注文するんだよ……」
「ははは、ドリンクバーで良かろう。それとも、何か食べるなら注文してもいいが」
 昼食を食べそこねてしまったが、もうすでに夕飯の時間も近い。
 親には夕飯までには帰ると連絡してあるしな。
「俺はそれでいいや。南部は?」
「わたしも、夕飯は家で食べるし」
 ということで、すでに頼むものは決まっていたことになる。
 にしても、この時間にしてはやけに人が多いか? しかも、若い男性客が若干多い。
「……って、アンタらなにしてるんだ?」
 注文するものは決まっている。それなのに、メニューなんか広げて。
 対面通路側に座る北見は南部をかばうように立ててるし、西沢も同様だ。俺だけノーガード。
 なんか始まるの?
 視線の先からは厨房から、ちんまいウェイトレスがでてきた。トレーに水を乗っけて危なっかしくよたよたしている。大丈夫なのかよアレ。
 注文を取りに来るであろう、彼女がこっちにやってくる。
 俺たちの席の前に到着して方向転換を、
「はわわ、おまたせしま……あッ!!」
「ぎゃあ!!」
 した瞬間にコップが落ちてきた。当然、中身なんて飛び出して散乱するわけで。おい、北見と西沢わかってただろ!
「も、申し訳ありません。すぐにタオルを――」
「ドリンクバー四つ頼む」
 西沢が横から注文。しかも、メニューを立てたまま。
「かしこまりました。コップはあちらにあるので……って、すぐにタオルをお持ちします!!」
 ちんまいのがペコペコ頭を下げているが、被害を受けたのは俺一人だ。
「ありがとう、冬樹くん」
「いやいや、いつものことですから」
 南部と北見は……まあ、そっとしておこう。
「はっはっは」
「で、西沢! わかってたなら忠告くらいしろよ!」
「いやいや、人を守るのは不慣れでな。それに、反応を見たかった」
 それが本音だろ!
 悪びれる様子もなく笑う西沢。俺は一生かけてもコイツに勝てる気がしない。むしろ、勝てる奴に会うことすら無理かもしれない。
「申し訳ありません。タオルを――きゃッ!!」
「ぎゃあ!!」
 なんで、座ってる俺にボディプレスを……。
 おっちょこちょいという範囲を超えたコイツをなんでいつまでも雇っているんだ!
 しかも、西沢も北見もなんで微笑ましそうなんだ! このファミレスの名物なのか!? 客層の理由もそれか!
「ははは、では男性諸君。飲み物を頼むよ」
 西沢の笑顔が眩しい。南部の釣られて微笑む顔もまた明るい。
 なんで、こんなことに巻き込まれたと考えるのが馬鹿らしくなってくるよ。
「ああ、行ってきてやるよ」
 ちんまいのを引き剥がしつつ、答える。
 こいつらといると、楽しくなってきやがる。これが、俺の求めていたものなのか?


「ほい、乳酸菌飲料だ。乳酸菌は死んでるらしいがな」
 西沢の前に白い液体の入ったコップを置きつつ、南部に教えてやる。ドリンクサーバでコップに入れているときに、北見が教えてくれた。
「ふーん、ですってよ。春香さん」
 それをそのまま西沢にパス。
 ちなみに俺はコーラで、南部がオレンジジュース、北見がメロンソーダだ。
 南部の飲み物は北見が注いできたがすでにストローが……気遣いができてるだと!?
「もっとも、私が北見少年に教えたのが始まりだがな」
「お前が元凶かよ!」
 できれば知りたくなかった無駄な知識である。
「ということで」
 西沢が話を仕切る。
「皆で打ち解けることができたようでよかった。自分の身体を使っていた人間がどういう者かも理解できたろう」
「ふん、こんな人間で悪かったな」
「いやいや、私的には高評価だぞ。貞操も守られたみたいだしな」
「貞操って……」
 微笑みながら楽しそうに言ってきやがる。
 この部分がなければ、美人で頭も身体能力いい、完璧な人間なんだろうが。誰にでも欠点があるということか。
「北見少年と南部女史も仲良くなっているようでよかった。挙式はどこであげるんだ?」
「「ッ!?」」
 あ、二人が距離を取った。というか、挙式は言いすぎだ!
 さっきからお互いに目配せをしていたがそれすらせず、二人ともうつむいて動かなくなってしまった。入れ替わっていた同士、気が合うんだろうな。
 と言うことは、俺は西沢と気が合うことになるのか?
「して、東條少年。余った、私たちはどこで挙式を――」
「挙式から離れろ! そろそろ、冗談じゃなくなる」
 コイツなら同時に挙げるとか言いかねない。冗談抜きで。
「ははは、何よりだ」
 何がだ。
「それはいいとして」
「変な方向に持っていったのはお前だろ」
「本題に入ろうか」
 変な方向に持って行くくせに、空気の引き締め方もまた上手い。
 それも一つの才能だろうが、そうでもなければ生徒会長は務まらないのだろう。
「ああ」
「ですね」
「そうね」
 それぞれうなずき、情報の整理に入る。


 が結論から言えば、大した情報はお互いに持ちあわせてはいなかった。
 なぜ、変化が起きたのか、犯人はいるのか、いつ終わるのか。
 そういった情報を期待したのだが、結局は謎のままであった。
 犯人や原因を追い詰め、この入れ替わる生活から開放される……なんてことはなかった。
 これがもし、物語として語られているのであればズッコケもいいところだ。
「なんだよ、結局進展なしか……」
 皆の話を聞いて、体重を背もたれに預ける。
 硬いスポンジが俺の身体を受け入れるが、気持ちよくはない。
「ははは、私たちが黒幕じゃなくて悪かったね」
「……まだそのほうが救われたかもな」
 変化に気がついてる奴と出会えば、何かわかると思ったんだがな。甘かったか。
「ただな、少年」
「ん?」
「東條少年は、進展がなかったと思うのか?」
「どういう意味だよ」
「そのままさ、ちょっと周りを見てみろ」
 周り?
 席に着くは、南部と北見、それに西沢。
「……」
 皆、俺の音を注目している。
「答えは見えてくるであろう?」
 楽しそうな西沢。
「ね、秋斗くん」
 嬉しそうな南部。
「ですね、東條さん」
 ついでに北見。
「こうして、わたしたちが変化に気がつけたから、こうした出会いがあるんだよ。それがなかったら、出会うことはまずなかった」
 似たもの同時の俺たち。
「そうですよ。僕も、南部さんや東條さんみたいに面白い人達に会えました」
 面白くて悪かったな。でも、
「そういうことか」
 はじめはやっかいな事に巻き込まれたと思っていた。
 でも、南部と出会い、西沢や北見と出会えた。
 最初に知りあって、友達になった南部夏弥。
 弱々しくも、生徒会長を支える北見冬樹。
 完璧に見えつつ実は欠点がある西沢春香。
 もしかして、こうなることのためにセッティングされた世界? そんなバカな。
 でも、この変化をみて喜んでるであろう奴よ。許しはしないが、感謝はするぜ。
 女になればもっと楽しいと思っていた誤解が解けた。
 結局、俺は俺でしかないんだ。
 南部も、西沢も、北見もそれぞれの想いがあり、変化に巻き込まれた。そして、何かしらの影響があってそれを解決できた……のかは分からないが、変化が起きたことを楽しんでいた顔をしている。
 そして、一度できた関係は、変化が起きなくなったとしても消えることはない。
 もしかしたら、俺は女になりたいと思うとともに、こうして馬鹿騒ぎがしたかったのかもしれない。同じ想いが重なって、この集まりができた。
 今となっては後付けの理由。でもいくらでも後から付けてやろうじゃないか。
「……これからもよろしく頼むぜ、俺」
 次は西沢も目を丸くすることもなく、代わりに南部と北見が理解できてなさそうな顔をしている。それでいいんだ。
 西沢もいたずらなその笑顔を浮かべて、そっと手を差し伸べてきた。
「ああ、末永く頼むよ、私」
 その手を取る。
 明日になれば、俺は西沢春香の身体を使う。明後日に戻る。
 初日は苦痛でしかなかったが、今はそんなことはない。絆というものはこうして簡単にできあがるんだ。昨日は赤の他人でも、今日はもう知り合いや友人と呼べる仲にさえなるんだ。
「して、東條少年よ」
「なんだ?」
 手を握り合ったまま、
「本命は誰だい?」
 早速、そういう話題ですか……。
「いいだろ、そんなことは!」
 正直、言ってしまえば決めることなんてできない。
 知り合ったが、日が浅すぎる。
 南部と北見は仲良くなっているが、俺だって南部と仲が良くなっていると信じてる。だからといって、西沢もこれから知っていきたい。
 少なからず、身体の交換が成り立つんだから好意くらいは持ってるさ。
「それよりも、俺はこの四人で馬鹿騒ぎがしたい!」
 今はそれでいいよ。
「ははは、結論は焦るべきでないからな」
「ちょっと、なんの話をしてるの!?」
「え、なんです?」
 これが、今後の俺の日常。
 そうなればいいな。
「まあ、いいだろう。皆、コップを持て」
 西沢の音頭で皆がそれぞれのコップを持って、
「東條少年、乾杯の言葉を頼む」
「え……ええ、任された」
 だから、

 ――今日は、みんなに出会えたことに。

「乾杯!」
 まるで、これから起こるであろう騒がしい日々を表すかのごとく。
 四つのコップがぶつかり合って、音を立てるのである。
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AMaRo Project. 2014