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小説(二次創作)
メルト
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ある死神は
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せくすちぇんじッ! 第7話


   *

 朝、目が覚めたら元の身体に戻っていた……なんて、甘い現実が待っているわけもなく、俺はゆっくりと意識が覚醒していくのを感じる。身体の違和感をそのままに。
 夢でしたというオチもなく、枕元に置いておいた携帯電話はちゃんと一つ数字が増えていた。余談だが、黒色の愛機はピンク色に変わっていたことを添えておこう。
 鳴る前の携帯のアラームを止める。目覚めとしては最悪。
 目に飛び込むは、慣れるはずのないピンク一色の部屋。
 時刻としては八時少し前。この時間にアラームをセットしたのが間違いであったことに気がつくのはもう少し後である。
 起き上がると、長い黒髪がバッサバサになっていてまず鬱陶しい。それを梳かさなければいけず、それもまた鬱陶しい。そして、着替えなければいけないということに憂鬱する。
 男だった時には時間のかからない身だしなみだが、女になってしまえばそう簡単にはいかない。
 徒歩で十数分も歩けば学校に到着するため、結構ギリギリな時間に起きるのだが、完全に失敗だ。
 洗面所にあるであろうクシで髪を整えるのは……後ででいいか。
 とりあえずは、制服に着替えてしまおうか。
 こんな状況なのにもかかわらず、学校へ行こうという発想に至った俺を褒めたいくらい真面目だということに今更気がつく。
 ピンク色のパジャマのボタンを外してそれを脱げば、二つの山を包む白色の下着。
 まさか、こんなものが自分の身体にくっついているとは思えない、思いたくもない。
 昨日、風呂からあがって悪戦苦闘したのは言うまでもない。むしろ、入浴という行為自体に悪戦苦闘したさ。何が起きたかは語りたくもない。
 男として生きてきたのだから、付けたかがわからず、といって不要そうな母親に聞くのもシャクだったのでそれっぽく身に着けたが、やはり何かおかしい感じがする。しかしながら、正解もわからないわけだ。
 パジャマの上と同じく、下を脱ぎ捨てベッドに放る。
 上下の下着姿と聞けば男性諸君は興奮モノであろうが、生憎朝このクソ忙しい中、それを意識することなんて到底出来るわけながない。気になるんだったら、自分で体験してみてほしい。むしろ、体験しろ。
 ワイシャツを着て、スカート履いて、ブレザーに袖を通す。おしまい。
 それっぽくは着ているはずだ。初めて、うちの学校の指定服がセーラー服でないことに感謝しそうなほどだ。こんなことに感謝する人間など、他にいるか。
 でも、ああじゃない、こうじゃないしているうちに時間がなくなってしまったのは確かだ。
 遅刻するほどではないが、自分が家を出る時間はとうに過ぎている。それでも遅刻をしないというのは、学校の近くに住んでいるからこその特権か。
 坂もなく、ただ平坦な道のりを歩いていけばいいのだから、こんな格好でゆっくり歩いても大丈夫だ。大丈夫……なのか。
 姿見に映る自分の姿。紺色のブレザーに暖色チェックのスカートが揺れて、髪がそよそよしている。
「……くッ」
 なんだ、この敗北感は。
 とにかく家を出てしまうか。
 小さい母親に咎められつつ、トーストを口に咥えて家を後にする。
 まあ、遅刻する時間でもないし、誰にもぶつからずにトーストは全て腹の中に収まったさ。
 学校に近づくに連れて生徒の数も増えているが、やはり自身の変化に気がついているような素振りを見せるものはいないか。それと、スカートの中に入ってくる風が妙に気持ちが悪い。
 道行く生徒が誰なのかは知らないが、別の人間になっているのだから更にわからない。
 見る顔全部が知り合いだという人間がいたら、ぜひともお友達になりたいものだ。
 十数分歩き、学校に到着する。
 イカニモな奴らに絡まれた校門を通過して、校舎へと入る。
 東高校は"エ"の字を書くような形の校舎になっており、縦棒の部分が昇降口になっている。
 入って左側が、俺達が生活をする普通教室棟で、逆が美術室などの特殊教室棟となっている。
 外履きのままに校舎に入る訳にはいかないので、上履きに履き替える。
 身体が覚えているように、いつもどおりの下駄箱まで行ってしまったが、場所が変わっていなかった。
 五十音順だったはずの下駄箱が、滅茶苦茶な順番になっていることに気がついて少しげんなりする。
 みんな変わっているのか。
 自分の下駄箱には『西沢春香』というシールが張ってあり、自分の名前を再確認した。
 さて、今自分は女になっているということを忘れてはいけない。うっかり、下着なんてしまうということはしていけないのだろう。とともに、そう考えてしまう俺がとても悲しいのは何故でしょうか。
 リノリウムの床を進んでいく。二年生の教室は四階だ。当然エレベータなど便利なものはない。
 階段では反射的に尻の部分を抑えて昇る。
 一応、スカートは膝が隠れる位の長さにしたのだが、他の生徒でそこまで長い奴がいないのはなんでだろうか。ファッションの一つなのか?
 短いとパンツが見えて良くないと思うんだがな。
 まあそれはいいとして、我が三組へと向かおう。
 自分の家、下駄箱の位置が変わっていないのなら、クラスだって変わっていないに違いない。
 階段を昇って、廊下を進み、三組の教室へと入る。
 すでに半分くらいの生徒が教室にいるが、誰一人知っている顔がない。
 まるで転校初日かのような錯覚だ……。
 とりあえず、空いている自分の席であろう場所に荷物を下ろして、席に着く。
 じっと、周りを観察をしてある違和感に気がつく。
 みんな顔を知らないが、席の男女はまるまる入れ替わっている?
 もしや、全員の性別が入れ替わっているとう事になるのではないか?
 変化に気がついているのは俺だけということには変わらないのだろうが、皆が自覚したらとんでもないことになる。
 ……あ。
 それとともに、気が付かなくてもいい事実に気がつく。
 この法則が正しいとすれば、

 ――母は筋肉達磨に、父は幼女になっているということか?

「う……わ……」
 知らなきゃよかった。なんで、そうなっているのかわからないけど、知りたくなかった。頭を抱えて、肘を机につかせる。
 さらに、男友達しかいない俺に話しかけてくるのは、
「やあ」
 後ろから、女子の声が聞こえてくる。
 当然、話しかけてくるのは、女子しかない。
「お、おう……」
 顔を上げて、後ろを向く。
 そこには、荷物を下ろすポニーテールの女子生徒の姿。一田の席だから、コイツが一田の変化した後の存在か。
「おや、朝から元気ないけどどうしたの?」
 この優しさが温かすぎる。
 名前がわからないのが、すごく申し訳ないくらいだ。
「ちょっと、体調が優れなくてな……」
 わりと本当だから笑えない。
「大丈夫? 辛かったら、保健室行く?」
「あ、いや、それは大丈夫」
 本当に暖かいぜ。
 しかも、女子から話しかけられて、変な気持ちになってしまいそうだ。
「でも、今日はそっとしておいてもらえると助かるよ」
 マジで、本当に。
「そう。じゃあ、辛かったら教えてね」
「ああ、後、苗字って何だっけ」
「え……?」
 あ、このタイミングまずかったかな。でも、もう他にタイミングないだろうし、これでいいだろ。
「苗字は九久だけど、本当に大丈夫?」
「ああ、ありがとう。ちょっと、寝るわ」
「う、うん……」
 会話を半ば強引に終わらせて、机に突っ伏す。
 一田が九久という存在になっていた。そして、俺の友人というポジションは変わっていない。
 やはり、人間の存在が別のモノになっただけの世界になっているのか?
 それと、俺みたいに変化に気がついている奴はいるのか?
 休み時間になったら、少し探してみてもいいかもしれない。
 そもそも学校にいるのか、来ているのかは分からないが。
 なんて、考えているうちにチャイムが鳴った。
 男女入れ替わったクラスの面々、そして教師は男だったから女になっているはずだ。
 教室の外から靴音が聞こえ、教室のドアが開け放たれ入ってきたのは、

 ――俺の母親の姿をした人間が入ってきた。

 何故……だ。
 母親は筋肉達磨になり、教師が母親の姿になって……。
 一対一の交換ではなく、ランダムに変わっているのか?
 教師は当然俺を子どもだと認識することなく、担任としての職務を行う。
 でも、よりによって俺の母親の姿になることはないじゃんかよ。
 ああ、頭が痛い……。


 生徒も教師も、誰一人として顔を知らない中の授業というものは拷問に近いものを感じさえいる。
 重い頭を抱えているうちに昼休みになっていた。
 本当に体調も悪くなってきたし、頭がどうにかなってしまいそうとさえ思う。
 授業の進行は変化前と変わらず、ノートもファンシーなものにさえなっていたものの、中身は俺のノートそのままであり、支障がなかった。
 ノートだけは取っておこうと意気込み、板書をするのが精一杯であったほど、俺の精神は食われそうな勢いである。
 異なった教室で受ける授業というものは、はやり気を使うものなのか。
 昼になりゃ腹立って空く。カバンから母親特製の弁当箱を取り出す。しかしながら、小さい。
 女子生徒の弁当は基本的に小さなと思っていたが、やっぱり小さい。
 男だったときは二段で結構ゴツい弁当箱だった。今は、一段で面積は半分。単純計算で四分の一になってしまっているではないか!
 ただ腹は減った。減ったのは確かなのだが、疲労のほうが勝っていた。
 取り出した弁当はそのままカバンにしまって、席を立つ。
 一田――もとい、九久は別の生徒と弁当を食べており、席を立った瞬間に目があった。
 が、気遣ってくれているのか、目が合うだけでコチラにやってくることはなかった。
 友人は他にいないので絡んでくる奴もいない。このまま外の空気を吸ってこよう。
 そのまま教室前方のドアから、そっと教室を出る。
 どこに行こうというわけではないが、長い廊下の先まで歩いていくか。
 少し細い廊下に、それぞれの教室のドアが並ぶ。廊下にも昼食を摂る生徒たちが座り込んでいる。
 こういう事を許容されるのがこの学校である。ただ、通るときに邪魔になるのでそこだけは気にしてほしいものだ。
 座り込む生徒の上をまたぐように歩いてく。上履きに着いた埃が落ちるのを注意するだけでなく、下着が見えてしまわぬようにも意識を向けなければいけないのが面倒である。時折、男子生徒が鼻の下を伸ばしてる奴がいるので、多分見えてる。
 歩いていけば、いずれ壁にとたどり着く。
 そして、そこにあるのトイレである。
「……」
 別に尿意など催してないし、行くつもりもなかった。
 だがしかし、自分一人だけの空間と言えば、ここしか思い浮かばなかったわけで。
 俺が知ってる人間は九久だけしかいないが、俺を知っている人間は他にも少なからずいる。そういう人間に、話しかけられ毎回苗字を聞くというのも気が引ける。だからこそ、昼休みくらい篭っていてもいいのでは無いだろうか。そのほうが疲労と貯めこまずに済みそうだし。
 トイレは廊下のT字路を左折して左側にある。
 ピンク色の壁になっているのが女子トイレで、青色が男子トイレである。
 俺はゆったりとした足取りで、青色のトイレの方へと足を運んで、もう一つの入り口。ピンク色のトイレへと侵入しようとしていた男性生徒と目が合う。随分と気弱そうで、つついたら折れてしまいそうな外見をしてる……って、ちょっと待てい! 
「お前、男だろ!」
「あなた、女でしょ!」
 同時にツッコミを入れるとともに、俺が女子の外見をしているのにうっかり男性トイレに入ってしまいそうになっていたことに気がついて数歩引く。
 向こうも気がついたらしく、同じく数歩身を引いていた。
「……」
「……」
 が、出来心でもなく入るトイレを間違えるとか、そんなことがあってたまるか!
 それと、男子生徒の口調もなんか怪しい。
 通路のど真ん中にいるのも邪魔なので、壁際までよって彼と向かい合う。
 男というには後数年かかりそうな顔立ちで、髪も短め。すごく真面目そう。
「あ、あのさあ……」
「な、何よ……」
 お互いに探り探りな会話の始まり。これから何が始まるんです?
「こんな事言ったら変な奴だと思われるかもしれないが、聞いてくれるか?」
「聞くだけなら、別に」
 この際、変な奴で終わってくれても構わない。でも、確認だけはとっておきたいのは確かだ。
「元々、俺が男でした。とか言ったら、信じてもらえるのかなー……なんて」
 あはは、と斜め上に視線を向けながらも、目の前の男子生徒へと告げてみる。
「……」
 なんというか視線が痛い。もし、ただのソレッ気のある奴だったらどうしようとさえ、思う。
「……確かにわたしも外見男だけど、中身は女って言っても信じてくれるの?」
 男でその女口調というのは、聞くだけで精神的に……。なぜ、女の男口調はそうでもないのに……。
「今なら信じてもいい。いや、信じざるを得ない」
「ちょっと屋上行こうか。ここで、他の人に聞かれて変な人間とは思われたくないから」
「確かに、な」
 探してみれば結構身近にいたなー。この変化に気がついてる奴。
 そして、解決には近づかないかもしれないが、共感できる存在というのは非常にありがたい。
 俺達は屋上へと向かうべく、階段を昇っていく。
 二年生の教室は四階で、一つ上がれば一年生の教室。その上が屋上だ。
 常に開放はされているが、この学校の生徒たちは廊下のほうが好きなようであまり使われない場所である。もっとも、階段を昇るのが面倒というのもあるだろう。
「開けるぞ」
「うん」
 鉄製の大きな扉を開けると、風が一瞬校舎の中に入り込んで、俺の髪を撫でていく。重い。
 一歩外に出て、閉める。
 案の定、誰もいない。
 雲が斑模様の青い空の下、広くて灰色の屋上が広がっている。緑色の落下用のフェンスがあり、俺はそこに背を預けることにする。
 男子生徒の方は俺に向かい合うように、立って後ろで腕を組んでいる。
「さて、あなたは何者かしら」
 最初に口を開くのは彼の方であった。
 声変わりしてるのかわからないくらいの声であるが、やはり違和感がある。
「んー、名前を求めてるのか? それなら、自分から名乗るのが礼儀とか言う言葉があるぞ?」
 何者かと聞かれて、先に答えるのはなんとなくシャクに障るので、先攻は譲ろうと思う。
「確かにそうね……わたしは南部夏弥。この姿では、北見冬樹って事になってるわ」
 右手を自分の胸に当てて、自己紹介をする。いちいち素振りが、女性っぽい。
「俺は東條秋斗だ。西沢春香という存在になってる」
「それで、変態さんね」
「なんでだよ!」
 初対面でそんな不名誉な称号をつけられてたまるか!
「だって、外見が女の子になったからといって、スカートとか履く? それに、下着だっていっちょ前につけてるし……」
「いや、な。この学校の女子生徒の制服はこれしかないだろ。学校行くのに、私服とか論外だし」
「……で、見たの? 女の子の身体」
「同じ言葉を返そうか」
「「……」」
 話を続ければ続けるほど、悲しい感情が沸き上がってくるのはなんだ。やっぱり、俺は変態なのか、そうなのか!?
 ただただ屋上に風音だけが響く。向い合って、まるで告白した後のシーンに見られてもおかしくはない。
 ふと、扉の方に視線を移すが、別に人があるようには見えない。それだけが、救いか。
「やっぱり、みんな性別が変わってるのね」
「みたいだな」
 推測できることなんて、それくらいだろ。
「しかも、変化に気がついているのは俺とお前だけだ」
「それが問題よ!」
「……?」
 グッと、南部が一つ歩み寄ってくる。
「みんなは、気がついてないから何事も無く生活してるけど、わたしたちは気がついてしまっている。こんなので平然としていられるわけ無いじゃない」
「確かにそうだな」
 精神が弱い奴は既に発狂してもおかしくない環境であるのは認めよう。
「どうすれば戻るの? いつ戻るの? 他に気がついてる人は?」
「知るかよ。俺だって、知りたいよ」
 別に冷たく突き返そうというわけではない。俺も知らない。
 戻る時が来るのかすら、な。
「……ごめんなさいね。初対面なのに、八つ当たりみたいなことしちゃって」
 少しだけ涙目になって、頬を赤くする南部は二歩ほど下がってから、ほほ笑みを見せる。
「まあ、仕方ないだろ。こんな状況だ。愚痴の一つや二つは聞いてやる」
「うん、ありがと」
「俺が愚痴りたい時は聞いてもらうがな」
「それは気分次第で」
「なんでだよ!」
 俺も南部も、お互いに笑い合うだけには仲良くなれた、のかな?
 少なからず、悪いやつじゃなさそうだ。他の存在になっても、その身体を悪用しようともせずにな。
「ほら」
 と、南部が右手を差し出してきた。
「ん?」
 なんだ?
「男と男の友情ってことで」
「ん、男と男?」
 どういうことだ?
「ほら、秋斗くんは中身が男。わたしは外見が男ってことで」
「あ、ああ……」
 それでも、男と男は成り立たないんじゃないかとも思わなくはないが、仲良くはしたいし、その右手を握り返す。
「「……」」
 が、やっぱり男と男というのは無理がありそうだ。
「でさ、秋斗くん」
 手を握ったまま、南部は口を開く。
「どうした?」
「放課後、暇かな?」

 ――丁度、昼休み終了のチャイムが学校を包み込んだ。
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