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神サマの忘れ物
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あの青空に祈りを捧げ
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即興小説トレーニング置き場
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小説(完結)
突出幼心あくりょうちゃん
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オレと兄貴と私がいるから
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祭囃子~記憶の隅に~
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祭囃子~聖なる夜に~
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ボクはネコ
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フタツヤネノシタ
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魔女の契約
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暗黒の契約
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いのししレース ピキョ村のキピ
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おにぎり落ちたそのまま食べた
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天使見習い頑張らない
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せくすちぇんじッ!
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俺が我が家にやってきまして……。
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小説(二次創作)
メルト
1

ある死神は
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神サマの忘れ物 第10話


・神サマの忘れ物 第10話

『彼女とぶつかった老人、その人が落とした大切なものは彼女が持っている。俺は神様と名乗る人物と出会いお使いを頼まれる。そこで手に入れた三つの能力。俺の存在を受け入れてくれた彼女。して俺は彼女の家に転がり込むことにした。……そして俺は人と100回話すと消えてしまう……ただ、そのときは近づきつつある』






「で、ここはこうだ……一晩かけたかいはあったな、まさか中学の数学すらまともに出来てなかったとはな」

「うん、ありがとうね」

結局、美鈴に数学を一から教えているうちに朝になっていた。そもそも、数学が全く出来ないのによく高校に入れたよなと思ったが、あえて聞かなかった。

「後、何回?」

「これで90回目。後10回だな」

残り10回。流石にここまで来ると、話すも勇気がいる。

「ちょっと、散歩しよっか?」

「それもそうだな」

残り9回。既に『完全な』人間の姿に戻っていた俺は、目をゆっくり閉じ『ウサギの姿』になり、猫用ケージの中に入った。



「いってきま~す」

美鈴はケージを持って外に出た。朝はとても清々しく気持ちがいい。

「今日は繁華街に行ってみようか?」

俺は右手を上げてそれなりのアピールをした。因みに、美鈴の家から暫く歩くと24時間常に賑わってる繁華街があるのである。

「じゃあ、行こうか」

美鈴は、朝だけに人通りの無い道を歩いている。

「ねぇ、涼太君」

美鈴はゆっくりとした口調で話しかけてきた。

「私と涼太君が初めて出会ったのって何時だったけ?」

何時……? 確か、高校1年の入学してだったっけかな?

「涼太君は高校生になってからだと思ってるでしょ……本当はもっと前にあってるんだよ、ほら高校受験の時……」

受験の時? ……生憎俺はあまり記憶が無い。

「受験の日、私は行きのバスの中で鞄を落としちゃってね、しかも口が全開だったから中身が散乱しちゃった時、中身を拾ってくれたのが……涼太君だったんだよ。私、しっかり覚えてる」

そうだ、そんなこともあったな……あの時は受験のことで精一杯で忘れてたけどな……

「それで高校に入って涼太君と同じクラスになれて嬉しかったな。涼太君は私のこと覚えていなかったみたいだったけど、それでも友達になって、一杯話して……とっても、楽しかったな」

……確かに、楽しかった。そして、まともな友人といえば彼女だけだった気がする。

「……涼太君が帰る前に一つだけ言っておきたいこと……私、涼太君のことが……」

その瞬間、俺の入ったケージに激しい衝撃が起こった。どうやら、美鈴がケージを落としたようだ。どうにか体勢を立て直した俺は窓から外の様子を見てみると、美鈴といわゆる不良のような男が三人いた。

「おい、姉ちゃん。俺の肩にぶつかっておいて謝罪の一言も無いのかぁ?」

不良の一人が肩を擦りながら、言っている。相当なオーバーリアクションだ。

「……ご、ごめんなさい」

美鈴は怯えたような声で言った。生憎、ここはまだ繁華街でないため助けてくれそうな人物は誰もいない。

「もし、骨が折れてたらどうすんだぁ? ちょっと病院までついてきてもらおうか」

すると、後ろにいた二人が美鈴の両腕を掴んでいた。このままではマズイ! 俺はケージの鍵を開け出ると同時に一瞬目を閉じた。

中途半端に人間の姿に戻った俺は、美鈴とぶつかった男を勢いよく突き飛ばした。

「どわっ! 誰だ?」

突き飛ばされ座り込んだ体勢の男はそう言いながら立ち上がった。美鈴の腕を掴んでいた二人の男も美鈴を突き飛ばすと俺に近寄ってきた。

「何だぁ? 貴様、ウサギみたいな格好をしやがって」

しかし、俺は余裕を見せた顔のまま動かさなかった。

「貴様……聞いてるのか?」

男の一人がキレて俺の胸倉を掴んできた。そして男三人、三角形を描くように俺の回りにいる。そして、後ろの二人が同時に殴りかかってくる!

「黙れ……」

残り8回。俺はすばやく二人の拳をそれぞれ受け止めた。それを美鈴は座り込んだ姿勢のまま、かつ怯えた表情でこちらの様子を見ている。

「なっ……だったら、本気で息の根を止めてやる!」

胸倉を掴んでいる男が片手で俺に殴りかかってくる。俺は受け止めていた二人を押し倒し正面の男の胸倉を掴んでいる腕をグッっと掴んだ、俺の腕からは例の青白いオーラが出てきた。

「ひっ……!」

男三人は俺から少し距離をとった。そして、俺は美鈴に近づいた。

「美鈴、大丈夫か?」

残り7回。俺は美鈴に手を差し伸べた。もう、青白いオーラは出ていない。

「ごめん……腰が抜けて立てないや」

美鈴は俺に優しく微笑みかけた。

「そうか……ちょっと、奴らを懲らしめてくる」

残り6回。

「じゃあ、ガツンとやってきてね」

美鈴はそう言って俺の手に優しくグーパンチをした。

「よしっ」

残り5回。俺は美鈴に背を向け三人の元へ向かった。怒りのため残り回数を数えることも忘れ……

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AMaRo Project. 2014