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俺が我が家にやってきまして……。
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小説(二次創作)
メルト
1

ある死神は
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俺が我が家にやってきまして……。 第10話


「ふわああああああ……」

 優希少年は浴槽に浸かっていた。
 湯気の出るお湯に肩まで入って情けない声をだす。
 まさに入浴中である。
 ゆうきが「お風呂入ろうよ」と、提案してきたが、丁重にお断りしたら思ったよりあっさりと引き下がってくれた。
 自分だったら、強くおしてからかうか、もしくは別の手を考える。
 そう思うと、全裸で入浴するというのは選択ミスだったのかもしれない。

「……やべ」

 しかも、脱衣所も風呂場も鍵をかけるのを忘れてしまった。
 いつもかけないからその癖が出てしまったようだ。
 でも、風呂に入ってる時くらい一人にさせてくれるよな。
 外からは不穏な動きをする音は聞こえないし。
 温まったらさっさと出てしまうのがいいな。

「で、アイツはどうするつもりなんだか」

 呼び寄せてしまったとはいえ、ゆうきはこれからどうやって過ごすつもりなのだろうか。
 自分の世界にも帰ることが出来ずに、ここに住み続けるのか?
 今は夏休みだからいい。でも、学校がはじまったらどうするつもりだ?
 残してきた家族はどうなんだ。
 そして、彼女自身はどう思っているのだろうか。

 ――ガラガラ。

「――ッ!!」

 脱衣所のドアが開けられた!
 風呂場の戸の向こうに人の気配。
 曇り戸のあっち側にうごめく気配が……。
 誰かと言えばもう一人しか当てはまらない。
 どうするよ、俺。どうすんだ!?
 優希は次に取るべき行動を考えるが、どれも同しようもない。

「……しかたない」

 浴槽の縁にかけておいた小さめのタオルを腰に巻くという結論に至った。
 これで最小限のモノは隠せるはずだ……。
 次の瞬間には、

 ――ドカン。

「やほー!!」

 ものすごい勢いで浴槽のドアを開け放ってくれたゆうきが――

「――ッ!!」

 どういうことだ。

「なんで……」

 優希は信じられないものを見たような表情をしていた。
 なぜかって、

「なんでお前は、風呂でスクール水着きてるんだよ!!」
「てへッ」
「……」

 そう、ゆうきは紺色の水着を身にまとって仁王立ちをしていた。

「いや、ね。流石に自分自身とはいえ、全裸見せんのはちょっとね……」
「俺全裸だから!」
「きゃあえっち……なんて」

 一切気持ちのこもってない叫び声にすらなっていない声を上げながら、ゆうきが風呂場のドアをしめた。

「で、なんでお前が入ってくるんだよ」
「いいじゃんよ。たまには」
「たまにはって今日が初めてだよ」

 大股で一歩近づけばもう浴槽だ。

「……仕方ねぇな」

 優希はそのまま身体を反転させて、浴槽の中心に背を向ける。

「背中合わせで入るぞ」
「わーい!」

 水着を着ているとはいえ、流石に気まずい優希である。
 自分自身でも相手は女の子だ。
 ゆうきの片足が、水面を揺らす。
 ゆっくりと若干水位が上がって、止まる。
 次はもう片方の足が入れられて、ゆっくりと座る。

「「……」」

 ついには、お互いの背中をあわせて、二人で浴槽に入る。

「流石に、狭いね」
「そうだな。もう子どもじゃないってこった」
「ふふふ」
「はぁ……」

 して、無言の時が少し流れる。
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