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あの青空に祈りを捧げ
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小説(二次創作)
メルト
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ある死神は
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あの青空に祈りを捧げ 第29話

・親父プロジェクトその4~始動~

「あ、俺が行ってきます。誰か大体予想がつくので」

俊之君がそう言って玄関のほうへ向かっていった。俺は涙を拭って平然としていた(したつもりだった)。

玄関の開く音がした。俊之君と聞き覚えのある女の子の声がした。楽しそうに少し会話をした後、こちらに向かってきた。

「こんにちは、おじさん」

静香ちゃんだった。久しぶりに家に来たが、見ないうちに随分大人になっていた。静香ちゃんはケーキ屋の箱を持っていた。

「久しぶりだね。元気だったかい?」

「はい。後、これどうぞ。ケーキ、焼いてみたのですが美味しくできたかちょっと、自信がないのですが……」

そういって静香ちゃんは手に持っていた箱を俺に手渡した。開けて見てはいないがとてもおいしそう……な気がする。

「ありがとう。じゃあ、早速いただこうかな?」

俺は食器棚から3セットのフォークと皿を持ってきた。それらをテーブルにおいてケーキの入った箱を開けた。

おいしそうな白いケーキが1ホールが姿を見せた。俺は早速4等分にしてそれぞれの皿に盛った。

「っておじさん、流石に喰いきれないっすよ」

「そうですよ、おじさん」

俺は少し苦笑いをした。流石に喰いきれないよな。俺は頭をかいて、使い捨ての容器を持ってテーブルの上に置いた。

「とりあえず座ってくれ。喰いきれない分は、これに入れてもって帰ってくれよ」

そう言って俺はフォークを手渡した。2人が座るのを確認すると手を合わせてからケーキを口に運んだ。ふわふわのスポンジに程よい甘さでとろけるような生クリーム。

「美味い!」

と、叫んだのは俊之君だった。そして、フォークを静香ちゃんの方向へ向けていった。

「これ、本当に静香が作ったのか?」

その言葉を聴いて、静香ちゃんは頬を膨らませた。

「そうだけど、何? 信じられない? 私が作ってたところ見てたよね?」

今度は俊之君が信じられないような表情になった。俺は2人の様子を見ながらケーキをいただいている。

「あぁ、信じられないね。あんな、男と元気よく遊んでいたような奴がケーキ作りか?」

「悪かったね! いらないなら、返してよ」

静香ちゃんはテーブルをバンッと叩いて俊之君が食べているケーキの皿を取ろうとした。だが、俊之君は悟ると瞬間的に半分ほど残っていたケーキを口に押し込んだ。口が大きく膨張してとても苦しそうな顔をしている。

「あぁ!」

すごい悔しそうに、静香ちゃんは叫んでいた。俊之君はというと勝ち誇ったかのような顔をしていた。

「2人とも仲がいいんだな」

俺がボソッと言うと、静香ちゃんは「えぇ?」と皿を思ったまま声をあげ俊之君は咳き込み始めた。

「そんな事ないです!」

ほら、2人同時に答える。

お互いに顔を赤くして別の方向へ向けていた。

「茶化して悪かった。ところで、ちょっとついてきて欲しいところがあるのだが、運動がてらどうかな?」

俺は立ち上がって、2人に聞いてみた。2人ともいいですよと声をそろえて答えてくれた。

「じゃあ、早速行きますか」

俺たちはケーキを完食した後の皿を残して、とあるところへ向けて出発した。
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