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小説(継続中)
神サマの忘れ物
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あの青空に祈りを捧げ
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即興小説トレーニング置き場
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小説(完結)
突出幼心あくりょうちゃん
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オレと兄貴と私がいるから
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いのししレース ピキョ村のキピ
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おにぎり落ちたそのまま食べた
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せくすちぇんじッ!
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俺が我が家にやってきまして……。
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小説(二次創作)
メルト
1

ある死神は
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俺が我が家にやってきまして……。 第30話


「案外、あっさり見つかったな。流石、小名護の女版と言ったところか」
「ああ、そうだな」

 別れた後、数分もしない内に、優希の携帯宛に、沙苗のメールが到着した。
 その場所は駅近くの公園であり、優希と友永はすぐにそこに駆けつけることにした。

 その公園は、遊具にキノコを模したオブジェがいくつも建っており、その中は空洞になっているものだ。
 優希らがそこに辿り着いた時には、そのキノコのオブジェの穴に腰をかけて膝を抱えるゆうきと、その横で一緒に座って様子を伺っている沙苗の姿があった。
 ゆうきが顔を上げて、優希の姿を見るやいなやプイッと顔を逸らしてしまった。

「って、なんで顔そむけるんだよ!」
「さーちゃん、いじめるよふえーん」
「はいはい、よしよし」
「って、ゴラァ!」

 なんでいつの間に、沙苗とはヨリを戻してるんだと突っ込みたくなる優希である。

「だって、さーちゃんには怒ってないもん! 友ちゃんなんか、ここまで来てくれたし」

 要するに、優希がゆうきをおいて家を出て行ったことに腹を立てていた、ということか。

「やっと見つけたと思ったら、アンタ魔法陣の本いっぱい持ってるじゃん! 私なんてもう用済みなのかと思ったんだよ!」
「んなわけ無いだろ?」
「そうだよ、優希さん」

 ゆうきの横の沙苗が頭をよしよしとなでて煽てる。

「わたしは、あなたが元の世界に戻ったほうがいいって思ってる。あ、でも、すぐにではないよ? いずれ、優希さんが戻りたい時だけど」
「うん」
「それは、この世界があなたの知ってる世界ではないから」
「うん」
「あなたの好きな小段くんは、この世界にはいないんだもんね」
「うん、振られた」

 優希は沙苗のいうことは聞きやがって、と喉まででかかり、友永はそんな事まで言うなよ……と、メガネのブリッジをあげる。

「優希さん――あなたは、どうしたい? この世界に留まりたい? それとも、帰りたい?」
「それは……この世界のさーちゃんや友ちゃんと、仲良く慣れたし、もう一人の自分――」

 と、一度ゆうきは言葉を止める。
 そして、

「小名護優希って男の子と知り合えた」

 優希は初めて、ゆうきが自分の名前を呼んだような気がした。そして、自分も彼女の事を呼んだことが無いように思えた。

「でも、知り合えたってことは、今まで私の事を知らなかったってことなんだよね。私は名前と顔を覚えていても、この世界のみんなは、知っているようで知らなかった」

 ゆうきは立ち上がって、目頭に残っていた涙を拭き取る。

「それが寂しかったし、辛かった。それに対して、優希――もう一人の自分はこの世界の小名護優希だから、みんなと知り合いで、それが羨ましかったんだ」

 ――でも。

「それは、私も元の世界でつかめるってことなんだよね。この世界の自分がさーちゃんと仲良くなれそう――恋人になれそうだし」
「「こ――」」

 優希と沙苗が同時に声を発して、止める。

「なら、私も出来るよね。だから、戻るよ。そして、絶対帰ってくる。行き来できるようにしたい。今度はみんなで会いたい。時間旅行じゃなから、悪い影響はないよね?」

 ここで、優希を始め、友永も沙苗も吹き出した。
 ゆうきは「え? なんで?」という表情をする。

「やっぱり、俺だ。やりたいことは、なんだって実現しようとする。小名護優希だ」
「でしょ? だから、アンタも迎えに来てよ」
「ああ、でもその前にお前を送り返さないとな」

 本当は、ちゃんと送り返せるかわからない。

「まあ、元の世界じゃなくても楽しめそうだから、いっちょお願い」

 でも、小名護優希という人間は、どんな状況になっても楽しめる人間だった。

「じゃ、俺の家に行こう。四人いれば魔法陣もすぐだろ」

 そして、みんなが頷く。
 ゆうきがいなければ、この夏休みは友永とだけ過ごす夏休みだっただろう。
 今は、ゆうきがいる沙苗がいる。

「じゃあ、その前に、優希くん」
「ん、どうした?」

 沙苗も飛び出すようにキノコのオブジェから立ち上がる。

「このまま中途半端な関係だと、優希さんも気になるだろうからさ」

 その勢いのまま、優希に近寄って、

「――ッ!?」

 優希の唇を、

「今日一日で、好きになりました。付き合ってください」

 奪っていった。太陽のような笑顔をうかべて。
 優希は今の一瞬で何が起きたのか、把握するまでに数分もの時間を有した。
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AMaRo Project. 2014