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神サマの忘れ物
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あの青空に祈りを捧げ
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即興小説トレーニング置き場
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小説(完結)
突出幼心あくりょうちゃん
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せくすちぇんじッ!
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俺が我が家にやってきまして……。
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小説(二次創作)
メルト
1

ある死神は
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俺が我が家にやってきまして……。 第32話


「よし、できた!」

 と、優希が声を上げる時には外は明るくなっていた。
 魔法陣を描き始めたのが、夕方。
 魔法陣を描き終えたのが、翌日の朝だった。

「お、おう、できたか」

 部屋のフローリングに描かれた大きな魔法陣。
 現在、優希の部屋にいるのはチョークを手に持つ優希、部屋の端で座り込んで白くなっている友永の二人。
 ゆうきは寝室で仮眠を取っており、沙苗も泊まりでゆうきと一緒だ。

「じゃあ、二人を呼んでくるか」

 優希がチョークを置いて、自室を出る。
 結局、魔法陣の作成は一晩かかり、友永と沙苗は優希の家に泊まっていった。
 食事や泊まりの準備で二人は一度、自宅に戻ったが、その後は全員で本とにらめっこしながらチョークでフローリングに刻み続けた。
 おかげで、部屋が白く霞んでいるように見えた。
 女子二人は眠さが限界とのことで、丑三つ時には寝室に行くように優希と友永が促した。
 その友永も、外がほんのり明るくなった頃に意識が朦朧とし始めて今に至る。
 ただ、魔法陣ができた、と言っても後一本線を描き足さねばいけない状態でとどめてある。
 完成させてしまったら、魔法陣はすぐに効果を発揮するからだ。
 呼びにいって、ゆうきがやってきたら魔法陣を完成させるのだ。

「ってことで、起きてるのだろうか?」

 ゆうきと沙苗が寝てるだろう部屋にノックをしてから、恐る恐る覗きこんでみる。

「おはよう」
「優希くん、おはよう」
 
 既に二人は目を覚ましていて、布団をたたみ終えていた。

「魔法陣完成したぞ」
「うん」
「ごめんね。最後任せちゃって」

 ゆうきは少しだけ寂しそうに、沙苗は申し訳無さそうに答える。

「二人は、ちゃんと寝れたのか?」
「実は……」
「優希さんとずっと話してたんだ」
「そっか」

 きっと、色々話しておきたい事があったのだろうか。
 別の世界の住人であるゆうきとの話題は尽きないことだろう。

「でも、私、もういかないとね」
「ああ、そうだな」

 優希はゆうきと沙苗を連れて、自室へ戻る。



「おはよう、友ちゃん」
「おはよう」
「……あ、ああ」

 友永はダメだった。
 ゆうきも沙苗もその様子を察して、それ以上は話しかけないようにした。
 優希は床に置いたチョークを手にとって、

「最後の一本描くぞ。二人も魔法陣から離れていてくれ」
「うん」
「わかった」

 魔法陣が完成したとたんに、効果を発揮するため上にいると危ないのだ。
 優希も魔法陣の外側に出て、最後の一本を描き足す。
 そして――

「おお……」
「わぁ……」
「すごい……」

 その瞬間に、その魔法陣が光輝き始めたのだ。
 ただのチョークの線だったのにもかかわらず、道を示す光のように輝いている。

「ってことで、ゆうき。いいのか?」
「うん」

 ゆうきの表情は迷っていなかった。

「さーちゃん」
「なに?」
「この世界のさーちゃんも、私の友達になってくれたね」
「うん」
「こんな私だったけど、ありがとう。それと、幸せになってね」
「うん!」

「友ちゃん」
「……なんだ?」
「やっぱり、私、友ちゃんの事が好き」
「そうか……でも、オレはお前のことが――」
「わかってる。だから、私の世界の友ちゃんに、絶対同じことをいうから」
「……ああ」
「でも、もし、この魔方陣が失敗だったら」
「……」
「改めて、告白してもいい?」
「…………オレをその気分にさせるんだったら、いいんじゃないか?」

「それと、優希」
「ああ」
「あなたに出会えて色々変わった」
「それは、俺もだ」
「本当は男になりたかったけど、でもあなたに会って、変わった気がした」
「俺も、女になりたいって思ってたけど、今はもう違うかな」
「私が変えちゃったね。あなたのことを」
「全くだ――俺もお前の事を変えたみたいだから、おあいこだな」
「うん」
「まあ、元気でやれよ。それと」

「「絶対に、また会おう」」

 二人は、『小名護優希』は握手を交わした。
 お互いの世界を再び結ぶことを誓って。

「またね。みんな」

 ゆうきは一歩、魔法陣に踏み出した。
 その瞬間、魔法陣が一層輝いて。

 ゆうきは――



 ――元の世界へ戻っていった。
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