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小説(二次創作)
メルト
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ある死神は
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せくすちぇんじッ! 第15話


   *

 俺の横で怯える南部。
 どうしようもできない俺。
 運悪くも、イカニモな奴らと遭遇してしまった。
「ストレスが溜まってんだよ……」
 リーダー格と思わしき奴が一歩引く。
 周りの奴らもそれに合わせて距離を取り、リーダー格に注目をしている。
 そいつの手には竹刀が握られていて、俺を標的とするかのごとく振りかぶっている。
「ワタシから逃げたことを後悔するんだな……しかも、可愛い部下の大事な愛車を壊されてな……ムシャクシャしてんだよ!」
 知らねぇよ。アンタらは何をしたんだよ、バイクを壊されるとかどんなことすればそうなるんだ!
「歯ァ食いしばれ!!」
 その竹刀が、まさに、俺に、

 ――そして。

「ぐわああああああぁぁぁぁぁぁ!!」
 俺の声ではない。
 顔の前に両腕を出し、目を強く閉じた瞬間の出来事である。
 竹刀による強打もされることなく、ポカーンという音が鳴り響き時間が停止した。
「……助かった?」
 両腕を外して前を見れば、一台バイクを増えているではないか。
 バイクのエンジンの重低音が鳴り響き、有害な物質を出し続けるそれ。
 それから離れたところにリーダー格とヘルメットが一つ落ちていた。地面には筋が一本色が変わるほどの深さえぐられている。
 何が起きた? バイクに乗ってきた奴がヘルメットでも投げたのか?
 よくよく見れば、他にも倒れて動かなくなってる奴がいる……車輪の跡を残して。
 まさか、何人か巻き込んだのか!? ……って、生きてんの?
 まさに今まで俺に危害を加えようとしていた奴の心配なんてするのもではないだろうが、やはり気になってしまう。
「ね、ねえ……」
「ん、どうした?」
 ずっと横にいて震えていた南部が、肩をつついて呼んできた。
「……あ、あの人」
 どうやら、突如登場してきたバイクの運転手の方に指を向けているようだ。
 あの人?
 と、バイクばかり注目していたが視線を上の方へとスライドさせ、ジーパンを履いたシンプルな身のこなしをする俺の顔――
「――ッ!?」
 声ならぬ声が俺の口から飛び出し、思わず手で塞ぐ。
 まさか、まさかまさか……。
 俺の顔をした、西沢春香がそのバイクに跨がっているのであった。
 このタイミングでの登場ということで、南部も俺も声が出せない状況である。
 今にも竹刀で殴られてしまうという瞬間に、バイクでさっそうと現れる。あまりにもタイミングが良すぎ、格好良すぎではないか!
 俺の顔なのに、一つ行動が異なれば格好良くなれるのか……。
 そして、俺の身体を使う男――西沢の背後に倒れていた女の一人がムクリと立ち上がり、落ちてた木刀を拾い上げ――
「あぶ――」
「心配無用だ!」
 なんだこの格好いい声は! という自画自賛。
 殴りかかった瞬間に、西沢は俺の身体を使っているとは思えない跳躍を見せ、竹刀は宙を切り裂いた。
「な……ッ!?」
 同時に、振った女は避けられるなどと思っていなかったようでバランスを崩している。
「甘いな……ガラ空きだ!」
 そのチャンスを見逃さず、西沢の一撃が女の脳天を貫いてノックダウンさせる……脳に衝撃与えてるけど大丈夫なのか? 本当に。
「「ヒッ、ば、バケモノだ!!」」
 奇跡的に被害にあわなかった残りの取り巻きは、そのまま自分のバイクに乗って一目散に逃げていった。はぐれにならなければいいのだが。
 ただ、男が女を攻撃するという構図はやはりとんでもない光景である。
「ぐ……」
 バイクの音が遠くに消えていった頃、ヘルメットの強打を受けたリーダー格が再び意識を取り戻した。やはり、リーダーだけあって簡単には倒れてくれないってか?
「少年!」
「お? おお!?」
 という、俺の声に西沢の方へ身体を向ければ、急にヘルメットが飛んできた。俺まで攻撃対象なのかと思いきや、山なりのキャッチしやすい軌道であった。
 ヘルメットはリーダー格の方にも転がっているので、別の一個か。で、これをどうしろと?
「ほら、乗れ」
 西沢が跨っているバイクの後ろをポンポンと叩いている。要さなくても、俺に乗れと?
 バイクって二人乗りだろ? 南部が乗れないじゃないか。
「もう一人分は?」
「それは、後で迎えが来るから大丈夫だ。だから、君が代表してこっちに来るんだ」
 俺の顔してクールな奴とか、本当に印象っていうのは変わるものだな。うっかり、自分に惚れそうになるぜ……だからといって、俺はその気はないからな!
「……ということらしい、南部」
「うん、多分大丈夫」
 今にもリーダー格が起き上がり、動く準備が出来る状態になりそうだ。南部の大丈夫という言葉もまた気になるが、それどころじゃないな。
「じゃあ、後でな」
「うんわかった!」
 俺は走って、西沢の後ろへと乗り込むと、バイクのエンジンがうなり始める。予想はしていたが、このまま走り始めるつもりか? とりあえず、ヘルメットだけはしておくか。
 起き上がったのはリーダー格だけで、他の奴らはのびてしまったまま動く気配すらない。
「けッ、生徒会長様のおでましですか、イイご身分だねぇ」
 竹刀を杖に、復帰したリーダー格が悪態をつく。だかしかし、西沢は一切気にする様子もない。
「東條少年、掴まってろ」
「あ、ああ……」
 遠慮がちに肩を、
「ほら、胴に腕を回すんだ。落ちるぞ?」
「……わかった」
 指摘されてしまったので、腕を西沢の胴に回してしっかりと掴む。
「うむ、やはり胸が大きいようだな」
「……アンタ、本当に女か? この身体の持ち主か?」
「はっはっは」
 なんというか、変わっている。
 まるで男みたいな……だからこそ、か? 少なからず、こんな状況でセクハラ発言できるのだから、大物に違いない。
「テメェら、何話してんだよ!」
 あ、キレた。杖にしてた竹刀を大きく振って、地面をえぐる。あちゃー、相当怒ってるなー。
「悔しかったら、その大事なバイクで追っかけてくるんだな。追いついたら、私が直々に相手をしてやろう」
「って、おい、挑発していいのか!」
「ああ。いいか、飛ばすぞ? レースの始まりだ!」
「お、おお、おわぁ!!」
 リーダー格がバイクに乗り込もうとすると同時に、西沢はアクセルを一気に回転させ加速する!
 危うく落ちそうになるが、しっかり掴まっていたので落ちる心配はなかった。
 挑発の効果はてきめんだったようで、丸腰の南部には一切目もくれていない。
 遠くなりつつ南部には、一人の少女の姿が駆け寄っている。南部の身体を使う北見冬樹か。彼が俺たちが入ってきた入り口から小走りで南部に声をかけているようだ。
 親しげに二言三言会話をしてから入り口から出ていった。
「安心しろ、あれは私の優秀な部下だ」
「部下、か……」
 パートナーでも友人でもなく部下ですか。どういう関係なんだろうな。
「でも、向こうの心配をしている場合ではないぞ。こちらはこちらで追いかけっこをしないといけないのだからな」
 で、なんでコイツはこんなに面白そうに笑ってんだよ。
 俺らは別の公園の出入口からバイクで猛ダッシュ。後ろからはリーダー格の女が一人で追いかけてくる。
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AMaRo Project. 2014