ホーム

コンテンツ
あめいろぷろじぇくと!
Pクエスト(仮)
Twikker
わーどもんすたぁ
サモンズコール
どうぶつつなひき

小説(継続中)
神サマの忘れ物
12345
678910
1112131415
1617181920
212223

あの青空に祈りを捧げ
12345
678910
1112131415
1617181920
2122232425
2627282930
313233

即興小説トレーニング置き場
12

小説(完結)
突出幼心あくりょうちゃん
12345
678910
1112131415
1617181920
21

オレと兄貴と私がいるから
12345
678910

祭囃子〜記憶の隅に〜
1234

祭囃子〜聖なる夜に〜
12

ボクはネコ
1

フタツヤネノシタ
12345

魔女の契約
1234

暗黒の契約
12345

いのししレース ピキョ村のキピ
123

おにぎり落ちたそのまま食べた
12345

天使見習い頑張らない
1234

せくすちぇんじッ!
12345
678910
1112131415
1617

俺が我が家にやってきまして……。
12345
678910
1112131415
1617181920
2122232425
2627282930
31323334

小説(二次創作)
メルト
1

ある死神は
12345

ある死神は 第5話


 ***

 ――そして、背を預けていたフェンスが音をたてて外れてしまった。
「あ……」
 そうか、俺はこれで死ぬのか。
 ゆっくり、ゆっくりと見えるビジョンに、身体が外に投げ出される感覚が身を包む。
 車がたくさん走る地上にたたきつけられて、俺は。
 でも、やることはもうやったんだ。もう悔いはない。
 チラリと見える、彼女の綺麗な顔。
「――ッ!?」
 彼女の苦しそうな顔を見るたびに、思っていた。彼女にその表情をさせたくない。それは、守れそうにないけど、俺は、
「まだ――」
 手を伸ばしていた。誰に助けを求めるでもなく、自然に。
 やっぱり、俺は、生きたいのか。
「    」
 ああ、彼女の声が聞こえる。死神の彼女が、手を伸ばしてフェンスの外れたところから飛び込んできた。
 そうだな、もし、次に目がさめることがあったら、もう一度だけ、夢を追いかけるかな。生きることの大切さを知ったから。
 彼女がどんどん近づいてくる。泣き虫の彼女はやっぱり、光り輝く粒子を目から空へとばらまいて、とても綺麗だ。
「――まだ、生き延びるんだ!」
 彼女の手が、俺の手と触れ合った瞬間。

 ――世界が暗転する。
 


「……………………あれ」
 俺は、死んだのか?
 はっきりしない意識、天井が明るかった。
 横を見れば、青い空が視界に入るし、身体が寝かせられていることを訴えている。
 この清潔感溢れるにおいに、白い部屋といえば。
「病院か」
 なんか、生きてた。
 としか、形容ができない。でも、身体が動かないな。
 なので、足元に視界を映してみれば、左足が包帯でぐるぐる巻きにされて吊られているでは無いか。そして、移るのは彼女の姿。
「あ……」
 目があった瞬間に、彼女は目を見開いて、次の瞬間には笑顔になっていた。
 赤い瞳に、栗色の長い髪の毛。変わった服装をして鎌を持ったその少女。
「目、さめたんだ」
「あ、ああ……」
 両腕は動くし、もう片方の足もそうだ。あの高さから落ちて、一本の足の骨だけで済んだとは到底思えない。
「運が、よかったね」
「へ……?」
 だが、俺の考えはすぐに消されてしまう。てっきり、彼女が助けてくれたのかと思ったが、そうでは無いようだ。
「じゃあ、俺はなんで助かってるんだ?」
「わからない……でも、あなたは生きてたの。本当に不思議な人だね」
 全くだ。俺は、自分の頭の中で考えた決意を実行しないと、いけないみたいだな。
「でも、でもね」
 しかし、次に彼女は再び暗い表情を浮かべる。彼女もまた、色々な事があり混乱しているのだろうか。
「変なの……この病院の人たちのほとんどが、わたしの姿が見えるの。確かにね、もう少しだけだから見える人もいるけど、それでも元気な人でも見えるの」
「ん、それは、どういうことだろう……?」
 確かに、死に近い場所だけど、皆が皆霊感が強いわけでは当然無い。
 彼女の体質が変わっているのであれば、全員見えるはずだ。多分。
「じゃあ――」
 
 ――ガシャン、ドカドカ!!

「な、なんだッ!?」
 突然、たくさんの悲鳴と、色々な物が落ちて壊れる音が部屋の外から響いて耳に入ってきた。
 彼女も不安そうな表情を浮かべる中、部屋は個室なようで他の人はいない。
 どうなってるんだ。悲鳴と、足音が近づいてきて、ドアが勢い良く開け放たれる。
「え、ええ……!?」
 目に入ったのは、真っ赤に染まった看護師さんの姿。なんだ、どうなってるんだ。
「逃げて、逃げてください!」
 床の這いつくばりつつ、ドアに手をかけてるその人は必死に訴えてくるが、俺は一人で動けそうにない。
「でも、俺は……」
「そこのあなた、手伝ってあげて!」
 と、彼女に向かって叫んでいる。この人は、見えてる!?
「わ、わたし……」
 彼女も何が起きているのか、わかっていない。本当に、何が起きていやがるんだ!
 彼女も俺も困惑している間に、ドアにへばりついていた看護師が「あ、ああ……」と外に恐ろしい存在がいるかのように声をあげているし、
「おい、テメェ、逃げてるんじゃねぇ!!」
 挙句の果てに、おぞましい男の声が聞こえた瞬間。看護師が動かなくなってしまった。これって、ええ!?
 更には、その声の主が現れる。
「お、お前は……!?」
 見覚えがあった。それは、彼女と出会った日に、彼女とぶつかったそいつ。
「よう、また会うとは奇遇だな」
 手には赤黒い物体のついた長細い物。かつて、銀色であったであろうもの。
「お前は……そういうことだったのか……」
「ああ? 何を言ってやがる」
 男は俺が何を言っているのかわからない様子だが、視線を彼女に送ると、まるで納得したかの表情出会った。
 確かに、お前は死に近かったよ。そして、なんで彼女が病院で視認されてしまったかの理由もな。
 だがしかし、俺はここからどうすればいい。ここで死ぬんだったら、納得がいくが生憎簡単にやられるつもりは無いんでな。
「オレに出会ったのは不運だったな。ただただ、こうしてナイフを振るうのが楽しみでさ、死神って呼ばれたいんだわ」
「――ッ!?」
 その言葉に、彼女が反応を示した。

 ――死神。

 人を殺すのが死神なんかじゃない。
 それは彼女が、それと俺もよく知っていた。
「だから、お前残念だけど、死んでもらうわ。悪く思うなよ。嬢ちゃんも」
 彼女は鎌を。
 俺は覚悟を。
 男はナイフを。
 それぞれ持ってだな。
「死ねぇ!!」

 俺は――

 彼女は――

 男は――



 その騒動の後の話だがな。
 部屋に戻った俺は、まさかあの死にものぐるいだった数日の"作品"がまさか、夢への一歩になるとは思っても見なかった。
 それと、またイレギュラーな招待状と遭遇することになったが、それはまた、別の話だ。
 あの日、どうなったのかは、俺と彼女との秘密だけどな。
prev

AMaRo Project. 2014